全身で相手に成りきってみる

太田英樹

太田英樹

テーマ:コーチングコミュニケーション

先日、ある放課後等デイサービスのスタッフさんが、
難しい顔をしながら質問してきてくれました。

「先生がいつもおっしゃる『相手の目線に立って、自分の言葉を聴く』って
意味がわかりません。話が通じないバカに合わせていられませんよ」
と。

昔、私は完璧な講義を目指していて、
「質問がでない」、「よく理解できた」と思われる講座設計をしていました。

今では、逆に質問大好物。


「Aさんはそう思うんですね。
じゃあ、Aさんが最近職場で、何か伝えた時に、
伝わってないなぁ、こいつバカじゃないかって思った時のこと詳しく教えて」

Aさん
「◯◯◯・・・(あまりにストレートだったので、ここではポイントさえも書けません)」


「なるほど、そんなことがあったんですね。
その時、彼には言えなかったけど、本当は言いたかったことは?」

Aさん
「ほんとにバカじゃないの?
この仕事するなら、これくらい知ってて当然なのに、
言われてもなおできないって、バカとしか言いようがないわ!」


「そうだよねぇー。
じゃあ、今度は、彼になりきってみて、Aさんの言葉を聞いたとしたら、
どんなこと思ってそう?」

Aさん
「うーん、難しいなぁ(まだ彼になりきれていない)
『努力はしてるんだよ、もう少しわかるように教えてよ』
かなぁ・・・あっ!」


「どうした?」

Aさん
「彼は、◯◯って用語もよくわかってないし、△△も知らないから、私の話が理解できないんだ。そこから教えてあげればいいんだ!」


「そういうことなんですよ」

Aさん
「そっかぁ。なんで今まで気づかなかったんだろう。ありがとうございました」

と、そのスタッフさんは笑顔で去っていきました。

私たちは、頭では「相手の立場、目線に立つ」をやっているつもりなんです。

でも、思考だけでやるのと、全身でやるのとでは、まったく違います。

思考レベルでは、散々相手に合わせてやっているのに、
それでもだめなのは相手が悪い、と結局自分目線の結論になります。

でも、全身レベルでなりきると、
相手の思いと、自分の思いのズレがはっきり見えてくることがあります。

私たちは日ごろ、相手には伝わらない自分目線で言葉を発しています。

ほんの少し相手目線に立って、自分の言葉を聴いてみる。

それだけで、相手の理解度も変われば、行動も変わります。

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太田英樹
専門家

太田英樹(コーチングコミュニケーション講師)

株式会社インサイトハウス

介護・福祉業界を中心に人材育成と事業支援で多くの実績あり。アドラー心理学ベースのコーチング研修により、社内コミュニケーションを円滑化のみならず、人材定着率や利用者満足度を高め、事業の成長につなげます。

太田英樹プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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