パワーポイントをカンペの代わりにしてしまう方法【プレゼンに笑いをプラスするコツ35】

田久朋寛

田久朋寛

テーマ:パワポ等の活用術(笑いあるプレゼン)




NHK職員でお笑い芸人のたかまつななさんがプレゼンに関してブログを投稿していましたので、「プレゼンに笑いをプラスするコツ」シリーズの一環として紹介したいと思います(今回のコラムはたかまつさんのブログから着想を得たことを予めご了承ください)。

カンペを見た方がプレゼンはうまくいく!!
https://ameblo.jp/takamatsu-nana/entry-12403606041.html

たかまつさんは、カンニングペーパー(カンペ)を見ずに参加者に顔を向けた方が印象はいいに決まっているが、別にカンペを見たってかまわないではないかと主張しています。私も、まったくその通りだと思います。

自らに課す成功のハードルを下げてみよう


プレゼンが上手い人と言うと、私たちはテレビで見るTEDのような、常に観客を見てよどみなく話す完璧なものを想像してしまいます。もちろん高みを目指して技術向上の努力を日々行うのはとても良いことですが、一方で、最初からそこを目指すのはあまりにもハードルが高すぎるのではないかと思います。別に

・ちょっとくらい言い間違えたってかまわない
・段取りを覚えきれなくて、時々カンペを見てもかまわない
・全然アドリブがきかなくたってかまわない

最初はこのくらいの気持ちでいいのではないかと思います。むしろ、かっこいい完璧なもの求めるあまり現実とのギャップに落ち込むくらいなら、大失敗しないために確実に実行できる手堅いやり方で経験を積んだ方がいいというのが私の考えです。

パワーポイントをカンペ代わりに堂々と見る方法


たかまつななさんは、ブログの中で自分もカンペを見ていると書いています。私も堂々とカンペを見ています。年間70回以上行っている「笑いと健康」の講演会については、さすがに内容がすべて頭に入っていますので、カンペは必要ありません。しかし、私は「大道芸の笑いを医療や福祉に」をモットーに活動しており、実際の福祉や介護予防の場面での活動について、学会や研修会で定期的にプレゼンしています。特に学会でのプレゼンは1回限りです。事前に段取りを覚えきれるか心配ですので、カンペを見ています。

ただ、この表現は正確ではないかもしれません。実際に手元に紙を用意しているわけではなく、パワーポイントをカンペ代わりに使い、段取りを堂々と見ながら確認しているのです。

パワーポイントに今から話す内容だけのスライドを入れてしまう


プレゼン本番の段取り、構成を覚えていられるか不安なときに、パワーポイントをカンペ代わりに使う方法はとても簡単です。

・今から話す内容だけを書いたスライドを入れる

これだけです。これは小児病棟で芸術活動を行うアーティストを対象とした研修会を行った時に実際に使用した物です。








まず冒頭で話の構成を紹介するスライドをお見せして、話のテーマが変わるタイミングで、これから話すテーマだけを書いたスライドを表示する、これだけです。このスライドが1枚入ることで、自分がどんな段取りを組んだか堂々と見ながら確認することができます。最近のパワーポイントは、スライドショーを実行するとパソコン上で1枚先のスライドを見ることが可能ですので、会場の大きなスクリーンを見なくても段取りを確認できます。

内容を頭からお尻まで完璧に覚えておくのは結構大変ですが、小さなパーツに分けて、これからの段取りを見ながら確認できるようにしておく、これだけで本番に対する心理的ハードルが下がります。もし文字を書いたスライドでは味気ないと思う方がいたら、気分転換のイラストや写真を挿入するのもよいかもしれません。

話の流れが事前にわかるのは、参加者の理解の助けにもなる


これから話すテーマだけのスライドを挿入するのは、実はお話を聞いてくれる参加者にとっても大きなメリットがあります。それは、

・事前に話す内容がおおまかにわかると、理解がしやすくなる

という点です。初めて聞く話だと理解が追いつかなくなりがちです。参加者の理解のペースを無視して自分だけどんどん先に行ってしまっては、お話に惹きつけることができなくなってしまいます。これから話すテーマだけのスライドを挿入することによって、いったん間ができるので、参加者の皆さんがそれまでの話の内容を整理し、次の話に備えることができるようになります。

実は、私も次に話すテーマだけのスライドを入れるようになったのは、参加者がお話をより理解しやすくできるようにしたいのが元々の理由でした。しかし、たかまつななさんのブログを拝読して、実は自分が段取りを忘れないための手堅い対策にもなっていたのだな、と新たな発見がありました。

ですので、今回のコラムは、発想の原点は自分のオリジナルではなくたかまつななさんであることはご了承いただければと思います。

パワーポイント、フリップは作りっぱなしで終わらない


パワーポイントは非常に便利なツールです。パワーポイントが使えない場所では、代わりにフリップを用意してもよいでしょう。パワーポイント、フリップを準備する過程で、段取りを覚え、本番でど忘れして頭が真っ白になるのを防ぐ対策になるという意外な一面がありますので、ぜひひと手間かけて準備していただければと思います。

ただ、会場の施設トラブルなどでパワーポイントが使えなくなることもあります。また、第6回
で紹介したように、パワーポイントを作っただけで、当日話すことが全く整理されていなければ、本番で頭が真っ白になってしまう可能性もあります。当日の段取りを確実に覚えるために準備段階でもパワーポイントを活用する、というように考えると、きっとうまく行きますよ。

あと何回か、本番の成功のハードルを下げることをテーマにコラムを掲載したいと思います。

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田久朋寛
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田久朋寛(セミナー講師)

大道芸人たっきゅうさん

大道芸人として13年のキャリアを持つ。老人介護施設や高齢者大学等で、大道芸とレクチャーとヨガをミックスした健康講演会「ユーモアセラピー」を開講。笑いの効果を生かし高齢者の心身の健康をサポートしている。

田久朋寛プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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