参加者の心を開く極意をお笑いマジシャンに学ぶ【プレゼンに笑いをプラスするコツ4】
「プレゼンに笑いをプラスするコツ」シリーズも早くも第30回になりました。
今回からお話の理解度を大いに高めてくれるホワイトボードやパワーポイントの有効活用法について紹介したいと思うのですが、本格的な紹介に入る前段階として、会場の大きさと求められる雰囲気のお話をぜひさせていただければと思います。いきなり本編に行かないとまどろっこしく思う方もいるかと思いますが、1回だけお付き合いください。
会場の大きさによって、喜ばれるものが変わります
私は大道芸や講演を職業として丸14年になります。10人くらいの会場から、1000人を超えるステージまで大小さまざまな会場で芸やお話をご覧いただきました。ジャグリングがメインですので、元々どちらかというとある程度広い会場で披露する方が得意でした。また、技は本番でも他の大道芸人と比較しても失敗しない方ですので、大きなお祭りの野外ステージなどでバッチリ盛り上がり、主催者からお喜びいただけました。
この数年でデイサービスや老人ホームに訪問することが増えました。高齢者施設は野外とは違い狭い場所です。最初は野外と同じようにきちんとショーをすれば絶対盛り上がるかと思っていたのですが、必ずしもうまく行かないこともありました。対策を考え、マギー司郎さんのようなゆるいマジックも入れたりして、野外でのパフォーマンスより親近感をもってもらいやすい内容に変えたところ、お客さんに笑ってもらえる確率が大いに上がりました。
そして気がつきました。
会場の大きさでお客さんとの物理的な距離感が変わると、そのまま心の距離感にも変化があるのではないか?
と。
そして、これまでの大道芸・講演の記録を見直し、他のエンターテインメントも見返してみて、会場の大きさと喜ばれるものの違いを整理してみました。
小規模会場では親近感、大規模会場ではそつのなさ
整理した内容を、以下の図にまとめました。
小規模会場では、
・話し手に対して身近で親近感を持てる
・距離が近い分フランクに双方向でコミュニケーションが取れる
・一生懸命さが伝わってくる
といった内容が喜ばれます。
一方、大規模な会場では
・話し手から信頼や風格が感じられる
・話し手が大きな会場を圧倒するようなエネルギーを持っている
・さまざまなことをそつなく完璧にこなす
といった内容が喜ばれます(もちろん、あくまで一般的な傾向であり、絶対にすべての会場でそうだという訳ではないことをお断りしておきます)。
また、大きな会場の方が長めの間を取った方が反応が良くなります(ただ、小規模会場であっても、年配の方が多い時は長めの間を取った方が良いです)。会場の大きさで間の取り方を変えることの重要性は人気漫才師のナイツが様々なメディアで発言していますので、もし関心があればぜひ調べてみてください。
いきなりTEDやスティーブ・ジョブズを目指す必要はありません
プレゼンと言うと、TEDやスティーブジョブズのような、動画やグラフを効果的に見せ、巧みな話術を駆使するものをイメージする方も多いのではないでしょうか。私もあのようなプレゼンに憧れはあります。しかし、プレゼンをすることになって、いきなりあのような完璧なプレゼンを目指すのは、あまりにもハードルが高すぎです。そして自分と比較して落ち込んで自信をなくしてしまったとしたら、非常にもったいないことです。
ここで記したように、小規模な会場で、必ずしも完璧なものが求められているわけではありません。いきなりTEDの会場でプレゼンを任される人は滅多にいなくて、最初はもっと小規模な場所から経験を積むはずです。最初は率直に親近感を持ってもらえれば成功で、段々技術も身につけて、大規模な会場でも自信をもって臨めるようになればよいと私は思います。
小規模会場ではホワイトボードもオススメ
さて、ここまでのお話を踏まえて、パワーポイントやホワイトボードのお話をちょっとだけしたいと思います。最近はパワーポイント全盛の時代で、プレゼンにはもはや必須のツールであると言っても過言ではないかもしれません。一方で、ホワイトボードのようなアナログツールは敬遠される傾向があります。
一方で、小規模な会場では、ホワイトボードも意外と侮れないツールです。パワーポイントに比べると素人っぽさが出るのが嫌だと思うかもしれませんが、その素人っぽさが逆に親近感につながる可能性もあります。私は、「笑いと健康」の講演をする際にも
・デイサービスのような小規模な施設での講演では、ホワイトボード
・文化ホールのような大規模会場での講演は、パワーポイント
で使い分けるようにしています。あえてホワイトボードのようなアナログツールを使う選択肢があることも、気に留めておいていただければと思います。
次回は、ホワイトボードの利点と活用法についての私の考え方をシェアしたいと思います。
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