「終わりよければすべてよし」はプレゼンにも当てはまります【プレゼンに笑いをプラスするコツ28】
「プレゼンに笑いをプラスするコツ」シリーズの第29回です。前回に引き続き、プレゼンや講座のクロージングについて取り上げたいと思います。
お話が「自分事」に感じられるかが、満足度のカギ
プレゼンや講座などで、お話を聞いてくれる参加者にとって、お話の内容に満足し、何か行動を起こしてみようかという気になれるかどうかは、どんな要因で決まるのでしょうか?もちろん答えはたった1つだけではないと思いますが、私は1つ大事なカギがあると考えます。それは
・話の内容が、自分(参加者)にとって大切であると感じられるかどうか
です。
健康や介護予防の啓発にせよ、新商品の宣伝にせよ、何らかのよい変化につながるようなお話を聞いていることは、ほとんどの参加者が頭では理解しているはずです。ですが、参加者の皆さんがいい話を聞けば無条件に満足していただけるかと言えば、そうではありません。最終的な満足度につながるのは、参加者の皆さんが
・自分のことを思ってよい話をしてくれた
・これなら自分にもすぐにできそう
など、お話の内容を自分事のように共感できるかどうかが重要だと私は思います。プレゼンの内容を考えるときにも、参加する皆さんの普段の生活を具体的に想像してみることが大事です。
第20回で、自己紹介の際に、話し手と参加者の距離を近づけるために、自分と相手の共通の接点をお話しする方法があることを紹介しました。参加する皆さんとの接点を探すところから始め、最後には皆さんに共感してもらう、この流れを全体の中で意識すると上手く行く確率がぐっと上がりますよ。
最後の決め手は、ロジックより共感や応援
プレゼンに限らず、人の気持ちを動かすことは決して簡単なことではありません。私もコラムを掲載していますが、まだまだ全然だと感じることも多々あります。ただ、1つ確実に言えることは、
ロジックだけでは不十分で、やはり最後は共感や応援である
ということです。
プレゼン用にきれいなスライドを用意しすらすら理路整然とお話をしていても、心の奥底で周囲の人を下に見ている感じのする人のお話と、経験不足でたどたどしさが出ていても、相手のために一生懸命話そうとしている人がいたら、最終的にはほとんどの人が後者のお話に共感するのではないでしょうか。
ドラマや映画でも同じです。主人公に全く共感できず、応援したいと思わなければ、ストーリーに何らかのメッセージがあっても続きを見たいとは思いませんよね。共感は大事な要素です。このコラムのご覧の皆さんはお子さんと一緒にドラえもんの映画を見に行くことも多いかもしれません。決して完璧ではないのび太君が仲間と勇気を振り絞るから応援できるのであって、ドラえもんと出木杉君が未来の道具を使って頭脳戦でこれから起こる危機を事前に潰すストーリーを見たい人は少ないですよね(それはそれで見てみたい気もしますが…)。
このコラムで紹介したような構成の方法など、ロジックは重要です。特に仕事として結果を出すことが求められる人にとっては、ロジックに綻びが出ることは大きな失敗につながることもあるかもしれません。しかし、ロジックだけでは十分ではないのです。初心を忘れず、お話を聞いてくれる参加者のことを配慮しながらお話をする、結局はこれが一番大事なのだと改めて思います。私もコラムを書きながら、改めて意識したいと思いました。そして、もし自分なりに一生懸命やったが結果が不十分であったなら、少しずつロジックについても学んでいけば、必ず上達します。
投げ銭に学ぶクロージング術
街で見かけることの増えた大道芸を一度はご覧になったことのある方も多いと思います。特に大都市の観光地では、最後に「投げ銭」という形でお客さんから芸に対する対価を直接受け取る形式が定着しています。
街で実際に大道芸を見かけたときに、普段なら素通りするのに今回だけは最後まで見て思わずお財布から「折りたためるもの」を取り出してしまったという経験をお持ちの方も多いと思います。その時の気持ちを思い出してみると、もちろん芸そのものが楽しかったのもありますが、それ以上に、目の前の大道芸人にこれからも頑張ってほしいという応援の気持ちがあったのではないでしょうか。技の上手い下手は重要な要素ではありますが、やはり共感や応援はそれ以上に重要な要素です。
お金の話をするのは恐縮ですが、新しく習得した技を披露する時などは、いつも以上に気合が入ります。実際には何度も失敗することもあるのですが、こちらの気迫がお客さんに伝わっているのか、成功するといつも以上に盛り上がります。しかし、段々慣れてきて演出の完成度も上がってくると、ショーとしては洗練されてきてているにもかかわらず、盛り上がりも最初ほどではなく、皆さんからいただく投げ銭の額はかえって下がってくることもあります。自分以外のほとんどの大道芸人が一度は経験しているはずです。変にこなれてきて気持ちがパフォーマンスに乗らなくなると、やはりお客さんにも伝わっているのだなと思います。1年中パフォーマンスを行っているプロのパフォーマーならではの難しさでもありますが、悪い意味でこなれてしまうことを防ぐためにも、常に改善をしていかなければいけないのだと思いますね。
次回からパワーポイントやホワイトボードの活用法について紹介したいと思いますが、その前に番外編を1個お届けします。
※ジャグリングのイラストは、こちらの著作権フリーサイトのものを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/search_result.php?word=%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0
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