参加者の状況に合わせたアイスブレーク【プレゼンに笑いをプラスするコツ22】
約1週間ぶりのコラムの再開になります。先週は兵庫、奈良、長野で講演会があり、大変充実した時間になりました。今回は「プレゼンに笑いをプラスするコツ」シリーズの第19回です。今回から、プレゼンやちょっとした講座を楽しくするための構成の方法ついて取り上げたいと思います。
プレゼンにも使えるAIDA(アイーダ)の法則
ずばり、お話を魅力的なものにするために私が一番使えると思っている法則を紹介します。それは
・AIDA(アイーダ)の法則
です。
この法則は、元々は広告宣伝における消費者の購買心理のプロセスを法則化したものです。しかし、長時間お話を聞いてもらうためのコツとしても、この法則を活用できます。各段階は、以下の通りです。(※プレゼンの構成に置き換えて説明しています)
1.Attention(注意):参加者にスピーカーである自分のことを注意・注目してもらう段階です。
2.Interest(興味):話のテーマに興味を持ってもらう段階です
3.Desire(欲求):参加者に話の内容が自分にも大事だと思ってもらう段階です
4.Action(行動):参加者に実際の行動を促す段階です
第2回でお話ししたように、参加者に自分のお話に対して共感を抱いてもらえればプレゼンや講座は一応の成功です。さらに、何らかの行動の変化を促すことができれば、実際に参加した人の生活にもよい影響を与える可能性が高まります。このような最終目標に向けて、場の空気を和やかにすることと同時に、AIDAの法則を意識して話の構成を考えることが、お話に惹きつけるコツです。
さて、購買心理のプロセスはAIDAではなく、AIDMA(アイドマ)ではないか?と思った方も多いかもしれません。DesireとActionの間にMemory(記憶)が入るのがAIDMAです。日本ではAIDAよりAIDMAの方が一般的です。最近では、インターネットで購買する実情に合わせたAISASというモデルもあります。AIDAの法則は、店頭に来た顧客に直接購買を促すための法則です。一方でAIDMAの法則は、広告を見てから近い将来に店に出向いて商品を購買することを前提としたモデルであるため、AIDAより段階が一つ多くなっています。プレゼンや講座で何かをお話しする際には直接参加者と対面してその場でお話に共感、行動の変化を促しますので、AIDMAよりもAIDAの方が相性が良いと私は考えます。
大道芸人はAIDA法則の達人
街で見かける大道芸で、気がついたら投げ銭で1000円札を入れてしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか。その大道芸人が明確に意識していないとは思いますが、大道芸はまさしくAIDAの法則で成り立っています。
大道芸は、屋内で行われる演芸とは異なり、最初からお客さんが待っていてくれるわけではありませんので、まずは目立つ芸や音楽でお客さんに注目してもらう所から始めなければなりません(Attention)。そして、つまらなければいつでも帰れるのが大道芸ですから、興味を持ってもらうためにあの手この手を使います(Interest)。そして、最後に迫力のある大技で締めて投げ銭を入れていただくのですが、たいていの場合、最後の大技の前に、始める前にお客さんが立ち止まってもらえるか不安だった、たくさん練習したといったお話をして、お客さんにその大道芸人を応援したいという気持ちを促します(Desire)。そして大技が決まるとおしまいとなるわけですが、投げ銭を心地よく入れていただくために、「お気持ちはできる方は折りたたんでお願いします」と言った冗談を言いながら、行動を促します(Action)。いつも人だかりができる人気の大道芸人は、AIDAの法則を上手に駆使しています。逆に芸のスキルは高いのにイマイチ盛り上がらない大道芸人は、構成が法則に則っていないという問題がある場合が多いです。(本筋から逸れますが、私が拠点とする関西の大道芸人は、あまり直接的に自分がいかに練習したのかアピールをするのは好まない人も多いですね。この辺は文化の違いなのかなと思いますね)
大道芸の構成は、プレゼンにも応用できます
私は最近では路上での大道芸より笑いと健康に関する講演会の仕事をする機会が圧倒的に増えましたが、大道芸で培ったAIDAの法則は、講演会でも活かしています。講演会では、笑いと健康に関するまじめな話だけでなく、大道芸や笑いを取り入れた体操も一緒に行っています。まず、自分と笑いそのものに注目してもらうために大道芸を披露し、その後にお客さんとの会話を意識しながら本題の笑いと健康についてお話しします。そして、実際に笑う回数を増やすことを実践してみたいと思ってもらうように、笑いを取り入れた体操を体験し、効果を体で感じてもらいます。最後に体操や講演でお話しした内容を日常生活のどのような場面で活かせるかお話しし、明日から実際に笑いを増やす行動を増やすことを促して終了します。このような構成で行っていますので、笑いの体操で行った手拍子やかけ声を実際にお友達と行いながら帰路につかれる方が多いです。ぜひAIDAの法則を意識してみてください。
次回からは、自分に注意、注目してもらうためのツカミについて取り上げてみたいと思います。
※AIDAの法則については、こちらのサイト等をご参照ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/AIDMA
※画像はこちらのサイトで作成したものです。
https://contentisking.jp/generators/serifu/
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