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「技術経営」の教科書3冊を読んだ感想

拾井央雄

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テーマ:中小企業の攻め方・守り方

技術経営
「技術経営」のカテゴリーに分類される教科書を何冊か読みましたので、紹介させていただきます。
経産省の資料によりますと、「技術経営(Management of Technology)」とは、技術を事業の核とする企業・組織が次世代の事業を継続的に創出し、持続的発展を行うための創造的、かつ戦略的なイノベーションのマネジメント、だそうです。
「技術経営」とは、「製造業界の経営学」のこと、とざっくり言えるかもしれませんね。

今回読んだ本は、次の3冊です。

(1) 『技術経営』原拓志/宮尾学(中央経済社)は、一番分量が少ないので、「技術経営」とはこういうことを考える経営学なのか、とその全体像を把握するのによいのではないかと思います。
ただ、とても簡潔にまとめられているため、例を挙げながらの嚙み砕いた説明というところまでを求めるには無理があります。「技術経営」に初めて触れる人には、具体的な理解にまで至らないという面があるかもしれません。
この本で全体像をつかみ、他の本で具体的な理解を深めた後、さらにこの本で全体を復習しておくという使い方もできるかと思います。

(2) 『MOT[技術経営]入門』延岡健太郎(日本経済新聞出版社)は、この分野のいわゆる「基本書」と言われる書籍のようです。
著者は、工学部を卒業して自動車会社に入社した後、MITの経営学博士号を取得されています。
実際に製造業の現場を経験された方が書かれているだけに、例を挙げて説明は、とても理解しやすいです。
難を挙げるとすれば、2006年の出版なので、挙げられている例が少し古く感じるところですね。
好例として挙げられている会社が、今となっては・・・だったりしますと、どこに問題があったのだろうかと、”続編”を期待してしまいます。

(3) 『コア・テキスト イノベーション・マネジメント』近能善範・高井文子(新世社)は、(2) をベースに内容をアップデートした物、というような感想を持ちました。
例も多く、それほど古い感じはしませんし、体系もよく練られていて理解しやすいように思います。
この3冊の中でどれか一つだけとなると、私は、この(3) をお勧めしたいと思います。

私が製造業界にいたころは、アメリカに精巧な工業製品は作れない、中国に高度な技術が必要な物は作れない、そんな認識が一般的でした。
しかし、これらいずれの教科書も、わが国の製造業界は下り坂、という問題意識は共通しています。
技術立国を謳歌していた何十年も前の認識をいまだに引きずって胡坐をかいていては、反転などとても無理だと思います。

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拾井央雄
専門家

拾井央雄(弁護士)

京都北山特許法律事務所

エンジニア15年〜弁理士5年と弁護士としては異例の経歴を持ち、技術系分野に精通。知的財産や技術系法務のエキスパートとして数多くの事業者を支援。また自身が住職である立場から宗教法人のサポートも手掛ける。

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