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【墓地の管理・運営(01)】 -約款-

拾井央雄

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テーマ:寺院の管理・運営

○○寺墓地使用契約約款

(目的)
第1条 本約款は,宗教法人○○寺の境内に所在する墓地(以下「○○寺墓地」という。)が,○○寺の宗教施設の一つとして適切に使用及び管理されることを目的として,必要な事項を定める。

(墓地の性質)
第2条 ○○寺墓地は,○○寺の檀信徒のための墓地として供される。
2 ○○寺墓地の管理者は,宗教法人○○寺の代表役員とする。

宗教法人

墓地使用契約約款

約款とは

今日から墓地の管理運営について勉強しましょう。

寺院が墓地の管理をするために、管理規則を作ります。
この規則は、一般的に「墓地使用規則」という標題にしている例が多いと思います。

しかし、規則の実質は墓地の経営主体と使用者との契約です。
ですから、標題を「約款」とする方が実態に沿っていると言えるでしょう。

「約款」とは、多数の相手と画一的な内容で取引をする場合に、その内容を定めておく条項をいいます。
民法の改正で「定型約款」の規定が新設されましたので、基本的にその規定が適用されることになります。

定型約款とは(民法第548条の2第1項)
① ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引である
② その取引の内容の全部又は一部が画一的であることが双方にとって合理的である
①②を満たす取引において,契約内容とすることを目的として,①の特定の者により準備された条項の総体をいう。

みなし合意

では、民法で定型約款についてどんなことが規定されているのでしょうか。

定型約款を契約の内容とする合意をした場合や、定型約款を準備した者があらかじめ定型約款を契約内容とする旨を相手方に表示していた場合に、定型約款の個別の条項を契約内容とすることに合意したとみなされます(民法第548条の2第1項)。

したがって、いちいち全部の条項を説明して合意する必要はないということになります。

ただし、契約時に約款を見せてほしいと言われたのに見せなかった場合は、約款を契約内容にすることができなくなります(民法第548条の3)。
ですから、墓地を使いたいという話があったときは、あらかじめ約款を印刷して渡しておいた方が安心できます。

みなし合意の例外

約款に書かれていても、取引の態様や実情、取引上の社会通念に照らして、信義則に反して相手方の利益を一方的に害する権利制限条項や義務加重条項は、合意しなかったものとされます(民法第548条の2第2項)。
簡単に言うと、そんな取り決めがあるなど思いもしないような、相手方に不利な条項があった場合です。

取引の態様や実情、取引上の社会通念に照らして、ということですから、どんな取引における約款なのか明確にしておく必要があります。
寺院の境内にある墓地と、事業として経営している墓地とでは事情が違うでしょうから、ここは明確にしておくべきでしょう。

約款の変更

あとから約款の中身を寺院側だけで変えることはできるのでしょうか。
契約の内容を変更する場合は相手方と合意の上でするのが原則ですが、墓地使用者の全員と合意するなど、実際上不可能です。

まず、相手方の一般の利益になる場合は変更できます。
例えば、管理料を減額する場合です。
この場合、相手方に不利益がないのですから、変更を認めても問題ありません。

相手方の利益にならない場合でも、契約の目的に反しない変更であれば、変更の必要性、相当性、変更がある旨の条項の有無、その他の事情に照らして合理的と言える場合、相手方の合意なく変更することができます。

少なくとも、変更される場合があるという条項は必須ということになります。

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拾井央雄
専門家

拾井央雄(弁護士)

京都北山特許法律事務所

エンジニア15年〜弁理士5年と弁護士としては異例の経歴を持ち、技術系分野に精通。知的財産や技術系法務のエキスパートとして数多くの事業者を支援。また自身が住職である立場から宗教法人のサポートも手掛ける。

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