【宗教法人の管理・運営(10)】 -機関3-
第5章 事業
(公益事業)
第37条 この法人は、次の事業を行う。
○○寺墓地「○○○○苑」運営事業
2 前項の事業は、別に定める「○○寺墓地○○○○苑運営規程」に基づき、代表役員が管理運営する。
3 第1項の事業に関する会計は、一般会計から区分し、特別会計として経理しなければならない。
(公益事業以外の事業)
第38条 この法人は、次の事業を行う。
○○寺ガレージ運営事業
2 前項の事業は、別に定める「○○寺ガレージ運営規程」に基づき、代表役員が管理運営する。
3 第1項の事業に関する会計は、一般会計から区分し、特別会計として経理しなければならない。
4 第1項の事業から生じた収益は、この法人のために使用しなければならない。
宗教法人の事業
ここでいう「事業」は、墓地やガレージの経営のように、本来の宗教活動以外の事業のことを指しています。
宗教法人は、公益事業を行うことができます(法6条1項)。
また「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成する」(法2条柱書)という目的に反しない限り、公益事業以外の事業を行うこともできます(法6条2項)。
宗教法人が事業を行う場合は、規則に記載しなければなりません(法12条1項7号)。
公益事業
「公益事業」とは、社会公共の利益のための非営利事業、と言われています。
幼稚園とか保育園とかがこれにあたります。
墓地経営はどうでしょうか。
宗派を問わない墓地の経営などは、社会公共の利益になると言えますから、公益事業にあたると言えるでしょう。
檀信徒のみが対象であるような墓地は、本来的な宗教活動の一環として運営することになります。
要するに、宗教法人の本来の目的から外れていても、「公益事業」はすることができるということです。
もっとも、規則に書くのは宗教法人が運営主体となる事業だけです。
たとえば住職が園長になっていても、別に社会福祉法人を設立して運営されているような保育園は、ここには規定しません。
公益事業以外の事業
公益事業以外の事業とは、おおまかに収益事業のことだと考えても大きく外れてはいないでしょう。
宗教法人が公益事業以外の事業を行うことができるとされたのは、その財政基盤の安定を図るためと言われています。
ですから、ここから生まれた収益は、宗教法人などのために使う必要があります(法6条2項)。
なお、収益事業については、法人税法2条13号を受けた同施行令5条1項に34種類の事業が付随事業を含むとして掲げられています。
そしてこれらの事業を「継続して事業場を設けて行」うものが該当します。
お守りやお札を売ったりするのは宗教活動に入らないのでしょうか。
宗教法人とすれば、宗教活動のつもりで行っているのかもしれません。
しかし税務署は、収益事業として法人税の課税対象にすることがあります。
どんな価格、どんな態様で販売しているかによって判断されるようですので、注意が必要です。