【宗教法人の管理・運営(15)】 -仮役員-
第4節 役員の解任
(代表役員の解任)
第16条 代表役員は、○○宗の規定によりこの寺院の住職の職を失った場合、解任される。
(責任役員の解任)
第17条 代表役員以外の責任役員が次の各号の一に該当するときは、責任役員会において各々定数の3分の2以上の議決を経て、代表役員は当該責任役員を解任することができる。
一 心身の故障のため、職務の遂行に支障がある場合
二 職務上の義務に明らかに違反した場合
三 責任役員たるにふさわしくない行為があった場合
(代務者の解任)
第18条 代表役員及び責任役員の代務者の解任については、前2条の規定を準用する。
規則の定め
役員の解任は、規則記載事項となっています(法12条1項5号)。
そのため、役員の解任は、まず規則の定めに従うことになります。
もっとも、規則に決められていなかったら解任できないというわけではありません。
役員と宗教法人との関係は、委任又は準委任(事実行為を事務委託する関係)と考えられます。
ですから、規則に定めがない場合でも、委任に関する民法651条の規定によって役員の解任ができると考えられます。
では、どうして規則で決める必要があるのでしょうか。
役員の解任は重大なできごとです。
どういう要件を満たせば解任できるのかを明確にしておかなければ、必ずトラブルを招きます。
そのため、規則に明確に規定しておく必要がありのです。
充て職の場合
この規則では住職が代表役員になると決められていますが、代表役員を解任すれば住職が代表役員でなくなります。
規則に反することにならないでしょうか。
その疑問はもっともです。
通常、解任権を持つのは任命権者であると考えられています。
このことからすれば、代表役員が充て職制の場合、住職の任命権を持つ者が住職と代表役員双方の解任権を持っていると言えます。
ですから、住職が包括宗教法人によって任命されているような場合は、包括宗教法人に対して住職の解任を求めるということになるでしょう。
この求めに応じて、包括宗教法人が懲戒処分により住職を罷免したような場合は、これによって代表役員でなくなるということになります。
責任役員の解任
解任を求められている責任役員は、解任決議に反対するに決まっています。
このような責任役員は、解任決議について特別の利害関係があるといえますので、議決権を持ちません。
この寺院の場合は、規則14条2項の規定に従って、必要な場合には仮責任役員を選定することになります。