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【宗教法人の管理・運営(7)】 -公告-

拾井央雄

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テーマ:寺院の管理・運営

(公告の方法)
第5条 この法人の公告は、機関誌「ちくわ寺報」に2回掲載して行う。
宗教法人
*規則記載事項であり(法12条1項11号)、登記事項である(法52条2項9号)。

公告が必要な場合

合併、解散、重要な財産の処分、被包括関係の設定・廃止の場合に公告が必要である。

信者等の利害関係人が承知した上で行われること、信者等が異議を述べた場合には責任役員会等の議決機関で再検討することが期待されている。

法は、解散についてのみ、「宗教法人は、信者その他の利害関係人が前項の期間内にその意見を申し述べたときは、その意見を十分に考慮して、その解散の手続を進めるかどうかについて再検討しなければならない(法44条3項)」と定めているが、公告が法定されている場合は同様の趣旨と理解しておくべきである。

公告の方法

宗教法人の公告は、新聞紙又は当該宗教法人の機関紙に掲載し、当該宗教法人の事務所の掲示場に掲示し、その他当該宗教法人の信者その他の利害関係人に周知させるに適当な方法でするものとする。(法12条2項)

機関誌に公告する場合、その機関誌が定期的に発行されていることが望ましい。

掲示板に掲載する場合は、目につきやすい場所に掲示されていることが必要である。

公告の効果

(1) 公告を怠ると認証申請が受理されない。

 公告の証明は、
・機関誌による公告の場合は、機関誌を添付。
・掲示板による公告の場合は、掲示の写真、複数の檀信徒の証明書など。

参考)公告文書の例

東京都
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/syukyo/pdf/0604.pdf

滋賀県
http://www.pref.shiga.lg.jp/shinseisho/ba00b/files/kokoku.pdf

(2) 財産処分について

宗教法人の境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物について、前条の規定に違反してした行為は、無効とする。但し、善意の相手方又は第三者に対しては、その無効をもつて対抗することができない。(法24条)

次の各号のいずれかに該当する場合においては、宗教法人の代表役員、その代務者、仮代表役員又は清算人は、十万円以下の過料に処する。(法88条)
「第二十三条の規定に違反して同条の規定による公告をしないで同条各号に掲げる行為をしたとき。」(3号)

《Q&A》

質問

私はたけのこ寺の檀家です。たけのこ寺は、借金をめぐってこんにゃく寺とトラブルになり、双方弁護士が代理人となって、たけのこ寺の境内地の一部をこんにゃく寺に譲渡する調停が成立したようです。
しかし、このような譲渡をするという公告はありませんでしたし、こんにゃく寺の代理人は公告の証明書を見せてくれとも言わなかったそうです。
このような調停は有効ですか。
もし無効なら裁判を起こしたいのですが。

回答

境内地の譲渡に際して規則にしたがった公告がされていない場合でも、譲渡の相手方がそのことを知らず、かつ知らないことについて重大な過失がなかった場合は、相手方に対して譲渡の無効を主張することができない。

本件の場合、こんにゃく寺の代理人弁護士が、たけのこ寺の代理人弁護士に公告手続きを行ったという証明を求めることもしなかったというのであれば、重大な過失があったと考えられる。
したがって、たけのこ寺は、こんにゃく寺に対して譲渡の無効を主張できると考えられる。

しかし、公告は、檀家に意見を述べる機会を与える趣旨ではあるものの、法は、その意見の取扱いについては何も定めていない。
単に、宗教法人が意見を聞いて再検討することを期待しているに過ぎない。
したがって、檀家という立場で訴えを提起することはできない。

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拾井央雄
専門家

拾井央雄(弁護士)

京都北山特許法律事務所

エンジニア15年〜弁理士5年と弁護士としては異例の経歴を持ち、技術系分野に精通。知的財産や技術系法務のエキスパートとして数多くの事業者を支援。また自身が住職である立場から宗教法人のサポートも手掛ける。

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