賃料を増額したい。
第1章 総則
(名称)
第1条 この寺院は、宗教法人法による宗教法人であって、「○○寺」と称する。
《厚生年金保険の適用》
「法人の事業所又は事務所であつて、常時従業員を使用するもの」は、厚生年金の強制適用事業所となる(厚生年金保険法第6条第1項第2号)。
「法人の事業所」とだけあるので、宗教法人も含まれる。
被保険者の資格取得を届出なかった場合の罰則も設けられている(同法102条、27条)。
《Q&A》
質問
「常時従業員を使用するもの」とあるが、代表役員や責任役員もこの「従業員」にあたるか。
回答
ほとんどの場合、従業員にあたる。
これについては、法人の代表者も労働者と区別することなく「事業所に使用される者」にあたるという昭和38年9月23日広島高裁岡山支部判決、「法人の代表者又は業務執行者であっても、法人から労務の対象として報酬を受けている者は、法人に使用される者として被保険者の資格を取得させるよう致されたい」という昭和24年7月28日の厚生省通知がある。
これらに従えば、宗教法人から役員報酬を受け取っている場合は、厚生年金保険法上の「使用される従業員」にあたり、その宗教法人は強制適用事業所となると考えられる。
反対に、法人から報酬を得ていなければ「使用される従業員」にあたらないので、適用事業所にもならない。
多くの場合、責任役員には宗教法人から報酬を支払っておらず、もっぱら他の収入によって生計を立てているので、「事業者に使用される者」にあたらないと考えられる。
代表役員は、その寺院の住職が兼ねていることがほとんどであろう。
住職が代表役員としてそれなりの報酬を受け取っていれば、「事業所に使用される者」にあたると言える。
法人が収益事業を行っている場合、その事業からの収入は法人の収入と言えるので、そこから住職が分け前を受け取るのであれば、法人から報酬を受け取っていることになる。
年額いくらという金額が決まっている護持会費というようなものも、法人の収入と言える。
これに対し、宗教活動によって受け取る「布施」は世俗的行為の対価として支払われるものではなく、信仰を動機とする宗教行為である。
宗教家としての住職が受け取ったものであって、必ずしも法人が取得するものともいえない。
ただし、住職が受け取ったものだとすれば、その「布施収入」は、個人事業主の収入として所得税が課税されることに留意。
《Q&A》
質問
住職職が一人だけの宗教法人で、強制加入事業所にあたる場合、加入しなければどうなるのか。
回答
年金機構から、罰則もあるので加入するように、との説得がなされることが考えられる。
ただし、形式的に罰則規定が適用できるとしても、実際に罰則まで適用されるのは、たとえば従業員から苦情があって再三指導しているのに拒否しているというよ うな場合でなければ考えにくい。
役員が一人だけいる宗教法人で、今後も従業員が増える見込みがなく、その役員が住職として現役で働いていて厚生年金の必要がないと主張しているのに、それでも強制的に加入させようとするのは、単に保険料を徴収したいという意味でしかない。
従業員の生活を補償するという趣旨でないのに、罰則まで適用する必要もなければ社会的な正義もない。