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拾井央雄プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

火葬までの時間

拾井央雄

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テーマ:寺院の管理・運営

遺言

質問

死亡してから火葬するまで24時間あける必要があると聞いたことがあります。
何か法律的な根拠があるのですか。

回答

身内が亡くなると、その日に枕経をあげて、翌日にお通夜をして、お葬式はその次の日にするのが一般的と言えるのではないでしょうか。
もっとも、友引で斎場の休みにあたるような場合は、必ずしもそのとおりではありませんが。

火葬するまで24時間あけないといけないというの聞かれたことがあるのではないでしょうか。

これは、「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」の第3条で、

埋葬又は火葬は、死亡後24時間を経過した後でなければ、これを行ってはならない。

と定められているのです。
蘇生の可能性を完全に排除する趣旨と説明されています。

しかし、感染症で亡くなったようなとき、早く火葬した方がいい場合もあります。

この条文には,「他の法令に別段の定があるものを除く外」として、例外が定められています。
そしてこの「他の法令」として、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」第30条第3項を挙げることができます。

その第30条第3項では、

一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体は、24時間以内に火葬することができる。

とされています。

また、2020年1月28日の「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令」で、新型コロナウイルス感染症については、

同条項中の「一類感染症,二類感染症,三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症」を「新型コロナウイルス感染症」と読み替える

とされましたので、含まれることになります。

ただ、新型コロナウイルス感染症による死亡の場合に限られますから、「一類感染症,二類感染症,三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症」によらない肺炎で死亡したけれども新型コロナウイルス感染症による死亡なのかどうかも分からない場合は、この規定を使えないということになります。

その場合は原則どおり24時間経過後に火葬するということになります。

それに、新型コロナウイルス感染症による死亡の場合でも、「することができる」にすぎず、「しなければならない」ということではありません。
厚生労働省も、「感染拡大防止対策上の支障等がない場合には、通常の葬儀の実施など、できる限り遺族の意向等を尊重した取扱をする必要があります。」と説明しています。

もし火葬をせかされるようなことがあっても、言われるままにバタバタと進めるのではなく、よく考えて対応することが大切だと思います。

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拾井央雄
専門家

拾井央雄(弁護士)

京都北山特許法律事務所

エンジニア15年〜弁理士5年と弁護士としては異例の経歴を持ち、技術系分野に精通。知的財産や技術系法務のエキスパートとして数多くの事業者を支援。また自身が住職である立場から宗教法人のサポートも手掛ける。

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