NHK受信契約に関する東京高裁判決
裁判所に行くと,その日に開かれる法廷の予定表が貼ってあったり,置いてあったりします。3年くらい前までは,民事裁判の開廷表に「不当利得返還請求」という事件名がびっしり記載されていたのですが,ここ最近は,少なくなってきているように思います。ここでいう「不当利得返還」というのは,いわゆる貸金業者に対する過払金返還請求事件のことを指しています。もちろん,法律上の原因がなく,他人の財産を利得した者は,その他人に不当利得返還義務を負いますから,その他人が利得した者を相手にして返還請求する場合を一般的に「不当利得返還請求」というのですが,その被告となっているのが貸金業者である場合には,ほとんどが過払金返還請求事件なのです。平成10年に簡易裁判所の民事事件を担当していたときには,原告が貸金業者である事件が激増していました。不況によりお金を借りる人が多く,貸金業者がその返還を求めて裁判をするという構図です。しかし,過払金が問題になると,今度は,逆に被告が貸金業者になっている事件が激増したということです。時代によって,開廷表の特色に変化がみられるというお話です。