家庭裁判所調査官という仕事

田沢剛

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裁判所には,裁判官のみならず,書記官,事務官という職制があり,家庭裁判所には,さらに調査官という方がおられます。この家庭裁判所調査官には,家事事件を担当する調査官と,少年事件を担当する調査官がいます。どちらを担当するかは,その裁判所の人事の問題で,ある裁判所では家事事件を担当していたけれども,異動先の裁判所では少年事件を担当するということもあります。以前,裁判所に勤務していた時に,少年事件を扱っていたこともあるのですが,事件を処理するにあたっての調査官の役割は大きく,非常に人間的な仕事だなあと感じました。少年は,何度も過ちを犯し,その度に家庭裁判所に送致されてくるのですが,年月を重ねると,この調査官が担当していれば,この少年の処分意見はこうだっただろうとか,あの調査官に担当しもらいたかった,などの思いがよぎるようになりました。更生の道を歩いてくれると思った少年が,再び事件送致されてくると,がっかりしたものです。特に,20歳を超えてしまうと,もはや少年事件とは扱えず,刑事事件となってしまうため,調査官が介入する余地がなくなり,大人として処分せざるを得なくなります。例えば,少年事件として送致されてきた場合には,少年院送致ということになった事件も,大人として処罰するとなると罰金で済んでしまうということもありました。少年事件を担当できたことは,非常にいい経験になりました。

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田沢剛
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田沢剛(弁護士)

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所

裁判官時代に民事,刑事を含めて様々な事件を担当しました。紛争処理にあたり,裁判所がどのような点を問題にしているのか,どの部分の証拠が足りないのかなど,事件の見通しを踏まえたアドバイスを心掛けています。

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