NHK受信契約に関する東京高裁判決
弁護士の田沢です。
仕事で破産にかかわるようになったのは,平成11年からです。
個人の破産というと,身ぐるみを剥がされてしまうようなイメージをお持ちの方も多いと思いますが,破産法という法律は,債務の支払ができなくなった者について,支払不能であると裁判所が認めて破産手続を開始し,その時点の財産を凍結して,これをお金に換えて各債権者に配当し,それでも残った債務について,生活再建のため,免責することを認めています。もちろん,財産凍結といっても,家財道具類を持っていかれることはありませんし,最小限の生活費を持っていかれることもありません。サラリーマンの方も,無理やり退職させられるということもありません。
ただし,債務の原因が浪費であったりギャンブルであったり,破産手続が開始される前に財産を隠したり処分したりするなど,良からぬ事情がある場合には,破産手続が終わっても免責決定を受けられない事態があります。そうなると,ずっと「破産者」のままとなり,諸々の資格制限を伴います。
やむを得ない事情で多額の負債を抱えてしまった方は,法律そのものが生活再建のためにこのような制度を認めておりますので,自分のためのみならず,家族のためにも,この制度の利用を専門家に相談することをお勧めします。
専門家による相談の落とし穴なんかも,次回以降に触れてみたいと思います。