平塚でおなじみの相続の専門家がラジオで語る ~ 子どものいない夫婦の相続 ~
ほんの少しだけ秋の気配を感じる午後でした
9月も後半に入りました。相続まちなかステーションのある神奈川・平塚でも、今年の夏は連日35度を超える酷暑が続きましたが、ようやく朝晩は涼しさを感じるようになりました。そんな、9月20日(木)の昼下がりにFM湘南ナパサ『ナパサタイムス☆アフタヌーン』にコーナー出演してまいりました。
番組の内容 相続相談の現場から 1 ~ 相続放棄の落とし穴?! ~
2011年7月以来、おかげさまでナパサのコーナーでお話をさせていただいて早いもので今回で87回目の出演となりました。今月からは、相続まちなかステーションに実際に寄せられた相談事例をもとに誰にでも起こりうる身近なテーマを題材にケーススタディをしていきたいと思います。
相続放棄ならばどこかで一度くらいは聞いたことのあるという方も多いくらい、相続手続きの中でもメジャーと言われる制度かもしれません。しかしながら、相続相談に対応している専門職から見ますと、どこかで誰かに聞いた知識をもとに誤解や思い込みをされていたり、他の制度と混同したりされているのが多いのもまたこの相続放棄の特徴です。まずは、今月もテーマに関わる出題をしますので皆さんも一緒に考えてみてください。
次の、相続や遺言に関する設問は、正しいか間違っているかを答えてください。
【設問】
一代で会社を興した男性Aには3人の子どもがいるが、この会社は長男に継いでもらいたいと願っている。そこで、Aがなくなった後、長男が速やかに会社を引き継げるようにするために、次男と三男には今のうちに書面で相続放棄をしてもらうことにした。このようなAおよび次男と三男の書面による相続放棄の合意は認められる。
さて、設問の記述は正しいでしょうか?それとも間違っているでしょうか?
まず、(1)相続放棄は相続開始時または自己が相続人であることを知ったときから3か月以内に、(2)家庭裁判所に相続放棄の申し立てをすることによって認められます。これらもとに本問について検討してみますと、Aはいまだ生存中であることから相続は開始しておらず、そもそも相続放棄は認められません。また、相続放棄は第三者に対しても絶対的に主張できる効力を持つことから、家庭裁判所に対する申し立てが必要となっており、相続人関係者等の当事者間による合意は書面によるものかどうかを問わず無効となります。
以上より、本問は誤りと判断できるでしょう。
【相続相談の現場から 1 ~ 相続放棄の落とし穴?! ~】
相続トラブルが急増していることを受けて、生前に相続トラブルの芽を摘んでおこうと考える方が少しずつ増えているようです。 しかしながら、どこかで誰かに聞いた知識やご自分でインターネット等でお調べになった情報をもとに制度そのものを誤解してしまったり、他の制度と混同される方もまた増えているのはとても残念なことです。せっかくの施策が無駄になってしまったり、新たなトラブルを引き起こしたりしないようにするためにも、ぜひ相続に精通した専門家に相談されることを強くお勧めします。
自分で調べた情報が正しいかどうか?! いますぐまちなかステーションに相談する
相続放棄の注意点について
1 相続放棄という制度を正しく理解して、適切な手立てを打つこと
→相続放棄が認められる要件や期間に注意が必要
2 後々のトラブルを回避するためにも、相続に精通した専門家を活用すること
番組出演の感想
今回のテーマは『相続相談の現場から 1 ~ 相続放棄の落とし穴?! ~』でしたが、氾濫する相続に関する情報とは裏腹に、特に相続放棄に関してはまだまだ一般の方にとって誤解や勘違いが多い分野であるのではないかと日頃から感じておりました。そこで、ひとりでも多くの方が正しい認識を持っていただくとともに、判断に迷った時には私たち法律専門職に対しても相談することの必要性についても理解していただくきっかけをご提供できたとすれば何よりであると感じました。
これからも、相続まちなかステーション 代表 加藤俊光は、身近な相続・遺言に関するテーマを題材にしながら、地域の皆様に役立つ情報をご提供できるよう頑張ってまいります。最後になりましたが、山田博康さん、そしてお聴きいただいたリスナーの皆様、ありがとうございました。