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加藤俊光

おひとりさま・おふたりさまの様々な悩みに寄り添う行政書士

加藤俊光(かとうとしみつ) / 行政書士

相続まちなかステーション/加藤法務行政書士事務所

コラム

平塚でおなじみの相続の専門家がラジオで語る ~ 相続相談の現場から 1  相続放棄  ~

2016年9月23日 公開 / 2018年9月19日更新

テーマ:メディア出演・掲載実績【平塚|行政書士】

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

台風が過ぎ去った夏の終わりの午後でした


9月も後半に入り、朝晩は夏の終わりを感じる季節になってきましたが、他方ではここ数年でまれにみるほどの数の台風が日本列島に上陸しております。被害に遭われた方へは、心よりお見舞いを申し上げるとともに一日も早い復旧をお祈りする次第です。

相続まちなかステーションがある神奈川・平塚も、ここ数日は雨風の強い日が続きましたが、そんな台風が過ぎ去ったばかりの9月15日(木)にFM湘南ナパサ『ナパサタイムスアフタヌーン』にコーナー出演してまいりました。




相続相談 平塚|相続まちなかステーション





番組の内容 ~ 相続相談の現場から その1 ~ 相続放棄の思わぬ落とし穴?! ~


2011年7月以来、おかげさまでナパサのコーナーでお話をさせていただいて早いもので今回で63回目の出演となりました。今月からは、相続まちなかステーションに実際に寄せられた相談事例をもとに、一般の方に知っておいていただきたいテーマを取り上げながらケーススタディをしていくことになりました。
 
まずは、第一回目として相続放棄を取り上げてみることにします。相続放棄というと、大半の方が一度くらいは聞いたことのある言葉かもしれませんが、この相続放棄、実は多角的な観点を持って対応しないと思わぬトラブルに巻き込まれる恐れのある非常に難しいテーマであることをご存知でしょうか。そんな、相続放棄ですが、まずは実際に寄せられた相談事例をもとに出題をしますので、皆さんもご一緒にお考えください。

 次の、相続や遺言に関する設問は、正しいか間違っているかを答えてください。

【設問】
 我が家は、父と母と長男と二男の4人家族であったが、先月事業をしていた父が多額の借金を残して死亡したため家族3人全員(母・長男・二男)で話し合った末に家庭裁判所に相続放棄の申し立てをした。
これによって、父の相続人は誰もいないことになり、債権者から借金の返済を請求されることはないと考えてよい。
  
 さて、設問の記述は正しいでしょうか、それとも間違っているでしょうか。

まず、(1)相続放棄は、相続開始時または自分が相続人となったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄を申し立てる必要があります。そして(2)相続放棄が認められると、その相続放棄をした相続人は初めから相続人でなかったものとして扱われ、次順位の法定相続人が相続人として扱われることになります。これを本問についてあてはめてみますと、(3)父の配偶者(母)は常に相続人であり、また子(長男・二男)は第1順位の相続人ですが、この3名が相続放棄を申し立てて、かつそれが認められた場合には、第2順位の相続人である直系尊属(この場合は父の両親、祖父母)が相続人として扱われます。さらに、この直系尊属がすべて死亡していたとしても、今度は第3順位の相続人である兄弟姉妹(これらの者が亡くなっている場合にはその子が代襲して相続します)が相続人として扱われることになりますので、家族3人だけで相続放棄の申し立てをしたとしても、それだけで相続人は誰もいない、債権者から請求を受けることもないと考えるのはやや早計だと言えます。

 以上より、本問は誤りと判断できるでしょう。

【相続放棄の思わぬ落とし穴?! 知っておきたいポイント】

相続放棄という言葉自体は、割合メジャーな言葉であり一度くらいはどこかで聞いたことがあるという方が大半だと思います。事実、相続まちなかステーションにお寄せいただくご相談事例でも、『相続放棄をしたい』という方は毎年数名は必ずいらっしゃるのが現状です。しかし、どこかで誰かに聞いた知識やご自分で調べた情報のためでしょうか、相続放棄の要件や効果について誤解や思い違いをしている方をよく見かけます。

 そこで、相続放棄の要件と効果、ポイントについて注意点をいくつか挙げてみました。

  (1)相続放棄は、相続開始時または自己が相続人となったことを知った時から3か月以内に
  家庭裁判所に相続放棄の申し立てをしなければならない。
    → 相続放棄は、相続人が単独で申し立てることができる。他の相続人の承認や同意
      などは一切不要
    → 相続財産の範囲内で責任を承継する限定承認という方法を用いる場合は、法定相
      続人全員で申し立てをしなければならない

  (2)相続放棄が認められると、その人は初めから相続人ではなかったものとして扱われる。
    → 同順位の相続人がすべていなくなった場合には、次順位の相続人が相続人として
      扱われることになる

  (3)相続放棄をしたことによって相続人が一人もいなくなった場合には、最後に相続放棄をした
  者は相続財産を管理する者が現れるまで相続財産を管理する義務を負うことに注意
    → 特に、不動産などにおいては注意が必要

番組出演の感想 


今回のテーマは『相続相談の現場から その1 ~ 相続放棄の思わぬ落とし穴?! ~』でしたが、相続放棄という言葉自体の知名度とは裏腹に、一般の方の間では意外にも誤解や思い込みの多いことを日頃から感じ取っておりました。そこで、ひとりでも多くの方が正しい認識を持っていただくとともに、判断に迷った時には私たち法律専門職に対しても相談することの必要性についても理解していただくきっかけをご提供できたとすれば何よりであると感じました。





相続手続 遺留分 平塚|相続まちなかステーション





これからも、相続まちなかステーション 代表 加藤俊光は、身近な相続・遺言に関するテーマを題材にしながら、地域の皆様に役立つ情報をご提供できるよう頑張ってまいります。最後になりましたが、山田博康さん、そしてお聞きいただいたリスナーの皆様、ありがとうございました。

この記事を書いたプロ

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加藤俊光(相続まちなかステーション/加藤法務行政書士事務所)

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