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平塚でおなじみの相続の専門家がラジオで語る ~  相続税対策の注意点 その1  ~

加藤俊光

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テーマ:メディア出演・掲載実績【平塚|行政書士】

今月の放送は、二度の大型台風が過ぎ去った直後の放送でした


10月も後半に入りましたが、今年は残暑らしい残暑がないと油断をしていたら2週連続で大型台風に見舞われる秋となってしまいました。相続まちなかステーションのある神奈川・平塚も台風の後は一気に秋が深まりそうな気配ですが、そんな行楽シーズン真っ只中の10月16日(木)にFM湘南ナパサ『ナパサタイムスアフタヌーン』にコーナー出演してまいりました。



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番組の内容 ~ 相続税対策の注意点について ~


2015年1月より相続税の課税が強化され、これまでの非課税枠が縮小されることは皆さんご承知の通りです。そして、この機会を最大のビジネスチャンスととらえた信託銀行や不動産業が、一般の方を対象に盛んに相続税対策を勧めているようです。しかし、目先の節税だけを重視した無理な対策や不要な対策を勧められるケースもあるようでトラブルも多発しています。そこで、ぜひ一般の方のために相続税対策に対する正しい情報をご提供したいと思いますが、まずは恒例の相続・遺言に関する基礎知識の確認をすべく、番組パーソナリティの滝島幹和さんに答えていただくところから始めてみました。


【設問】
  次の、相続や・遺言に関する記述のうち、正しいものはいくつあるか。

 (1) 相続税の申告には期限があるが、不動産の名義変更手続きには期限がない。
 (2) 父が亡くなった場合には、銀行預金は自動的に凍結され家族であっても一切引き
    出しができない。
 (3) 法定相続人以外の者に自分の財産を相続させたい場合には、遺言書を書く以外に
    方法はない。
 (4) 叔父は、常日頃から甥である私に『俺が死んだら、軽井沢の別荘をお前にやる』
    と言っていた。この場合、たとえ遺言書や契約書がなかったとしても甥が軽井沢の
    別荘を取得する可能性がある。
 
  さて、正解はいくつあるでしょうか。

 まず、(1)相続税の申告は、相続開始後10か月以内という厳格な期限の定めがあります。これに対し、相続登記につては特段の期限は定められていません。また、(2)誤解が多いところですが、銀行などの金融機関は預金者の死亡を知った場合には預金などの支払いの停止の措置を講じる義務がありますが、金融機関が預金者の死亡を知るまでは普通に預金の出し入れができます。相当な著名人や地元の名士などならいざ知らず、ごく一般の市民の死亡を金融機関がすべて把握することは不可能ですので、自動的に口座が凍結されることはありません。そして、(3)法定相続人以外の方に財産を遺贈したい場合には、遺言書を書く方法以外にも死因贈与契約を締結することで可能になります。さらに、(4)この選択肢のようなケースがまさに死因贈与契約だと考えられますが、たとえ契約書がなくても証人がいる場合や、相続人全員の承諾が得られれば甥が別荘を取得することができると思われます。
 以上より、(2)と(3)は誤りであると考えられるため、正解は(1)と(4)の2個となります。

【相続税対策の注意点について】

来年の税制改正を念頭に、相続税対策、特に相続税節税ビジネスが過熱の様相を見せています。それと同時に、相続まちなかステーションにも、相続節税におけるトラブルの相談が持ち込まれるようになりました。

ある信託銀行では『相続が発生すると預金がすぐに下ろせなくなる』と謳って、遺言代用信託を勧めているようですが、これによって遺産分割の協議の段階でトラブルになってしまうケースも増えています。確かに、預金よりも早く簡単に下ろせることは魅力的かもしれませんが、引き出したお金の管理があいまいであったり、信託行為自体を他の相続人に知らせなかったりすることで相続人同士で不信感が芽生えてしまい、いざ誰が何を相続するかの話し合いの段階で相続トラブルになってしまうケースが見受けられます。

また、教育資金贈与を目的とした信託商品も好調な販売を続けているようですが、実はここにも落とし穴があるようです。この教育資金贈与は預金ではありませんので、ひとたび教育資金贈与をしてしまうと贈与をした方が解約をしたり引き出しをしたりすることはできなくなります。お孫さんのためにと500万円の教育資金贈与を目的とした信託商品を申し込んだのですが、その後に状況が変わり医療や介護等で予想外のお金が必要になったといっても解約も引き出しもできずに困っているというケースもありました。

そこで、過熱する相続税の節税ビジネスに対する注意喚起も含めて、相続税対策の注意点を挙げてみました。

 (1)目先の利益に惑わされず、本当に必要かどうかをよく見極めること
   
   → 相続税を納める必要のある方は、現状100人中3~4人程度。来年度の税制
    改正後は、これが100人中7~8人程度になるといわれていますが、今後も9割
    以上の方は相続税を納める心配はありません。目先の利益にとらわれず、本当に
    必要かどうかを慎重に見極めることが大切です。

 (2)複数の専門家の客観的な意見をよく聞くこと

   → 様々な業種が相続ビジネスに参入してきていますが、どこもみな自分に都合の
    いいことを強調して、デメリットやリスクはなかなか話してくれないことも。
     医療の世界では、複数の医師に対して見解を求めるセカンドオピニオンが浸透
    していますが、相続税対策も分野の異なる複数の専門家の客観的な意見を求める
    ことが大切ではないか。

番組出演の感想 


今回のテーマは『相続税対策の注意点 その1』でしたが、過熱する相続税節税ビジネスに対しては危惧感を抱いておりました。そこで、ひとりでも多くの方が正しい認識を持っていただくとともに、判断に迷った時には金融機関の担当者の説明を鵜呑みにしてしまうことなく、私たち法律専門職に対しても相談してもらうことの必要性についても理解していただくきっかけをご提供できたとすれば何よりであると感じました。


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来月以降も、身近な相続・遺言に関するテーマを題材にしながら、地域の皆様に役立つ情報をご提供できるよう頑張ってまいります。最後になりましたが、滝島幹和さん、山田博康さん、そしてお聞きいただいたリスナーの皆様、ありがとうございました。

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加藤俊光
専門家

加藤俊光(行政書士)

相続まちなかステーション/加藤法務行政書士事務所

単身者・子どものいない夫婦世帯が人生の最終章で直面する介護や医療、金銭管理、死後の事務手続、お墓、ペットなどの切実な問題に寄り添い解決。地元の在宅医療・介護の専門職と密接な連携が取れる体制にも自信あり

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