親や配偶者に遺言を書いて欲しい? まずはあなたから公証役場へ!
朝のラッシュも終わって、少しずつ空席が目に入るようになった時間帯の列車に乗ると、『もう少しどちらかに詰めてくれるだけでもうひとり座れるのになあ』と思うことありませんか。
本来は7人掛けのロングシートの車両なのですから、標準的な体格の人ばかりであれば、みんなが後から来る人のことを考えて少しずつ詰め合えば、定員どおりの人が座れるはずです。しかし、みんなが自分の座席を奪い合って、自分さえ座れればそれでいいんだと考えてしまえば、おそらく定員どおりの人は座れなくなってしまうでしょう。
『奪い合えば足りなくなる。分け合えば少し余る。』
頭ではわかっていても、様々な考え方の人が多数利用する列車において、人々のモラルに頼るだけではもはや抜本的な解決は難しい。
そんなふうに思う人が多いからでしょうか、最近新しくなった列車のロングシートは、それぞれの人が本来座るべき位置にきちんと座るように、シートの形状や手すりの位置などに工夫が施されるようになりました。
そんなお話がいま、私が携わっている相続の分野でも急増しています。
いつもお話ししていることですが、人が亡くなったと同時に相続が発生します。そして、遺言がなければ法定相続が原則となり、誰が何を相続するかの話し合いいわゆる遺産分割協議をしなければなりません。
しかしながら、当事者だけで冷静にこの話し合いを進めることができるという方は次第に少なくなる一方のようです。いわゆる富裕層と言われるような方は別としてごく一般の方であれば、相続財産と言ってもおそらくはいまお住まいの土地建物などの不動産と、それ以外は預貯金だけという方が大半ではないでしょうか。そんな状態で相続人が2名ないし3名いたとしたら、法定相続分で分けることはまず不可能でしょう。むしろ財産の奪い合いになってしまうことが容易に想定できるのではないでしょうか。
『相続だって、奪い合えば足りなくなる。相続人同士が少しずつ不満を引き受けて、分け合う気持ちを持つことができればむしろ余るかもしれない。』
頭では理解できたとしても、様々な事情や経緯を抱えながら考え方や心の持ち方も異なる相続人同士が顔を合わせて、しかもある程度まとまった財産が手に入るという状況の中で、人としてのモラルに頼るだけではおそらく円満な解決は無理でしょう。
私は、『もしもこのご家族に遺言さえあれば、おそらくこんな相続トラブルになることなく、速やかに円満に相続手続をすませて、良好な人間関係を保つことができただろうに』という事例をたくさん見てきました。列車の中のシートの形状や手すりの位置をちょっと工夫するだけで乗客同士が座席を譲り合えるように、相続人全員に配慮を見せたあたたかい思いやりのこもった遺言書があるだけで、ほとんどの相続人同士が円満に譲り合うことができるはずだと、私は確信しています。
そのためにも、私自身もすでに遺言を書いています。弊事務所においでいただければ、私の遺言原案をお見せしながらあなたにとって最良の遺言とするにはどうしたらいいか、惜しみなくすべてお話しをさせていただきます。
これからも私は、遺言者の想いを理解できる相続・遺言の法律専門職としてひとりでも多くの方に相続を争続にさせないために自らの体験を踏まえた『争わないための遺言書』のご提案をし続けていきます。