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加藤俊光

おひとりさま・おふたりさまの様々な悩みに寄り添う行政書士

加藤俊光(かとうとしみつ) / 行政書士

相続まちなかステーション/加藤法務行政書士事務所

コラム

親族が集まっての相続会議 総論賛成!各論反対!結局決められず先送り?! 

2012年3月2日 公開 / 2018年9月22日更新

テーマ:遺言のすすめ【平塚|相続 遺言 相談窓口】

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

 ある考え方に対して全く同感だと思っていたにもかかわらず、いざ自分にかかわる問題になりそうになると何だかんだと理由を並べて反対する。いまこんな現象が日本中に蔓延しているのではないかと感じているのは、きっと私ひとりではないと捉えています。

 例えば、国会議員の定数を削減するというとかなり大勢の方が賛同してくれることでしょう。ところが、自分の住んでいる地域の国会議員の定数が減るとなった場合、『地方の声が届かなくなってしまう』あるいは『地元の意見を代表する人がいなくなるのは問題だ』などの反対意見があちこちからわき上がってきて、結局のところ具体的に話は進まなくなってしまうようです。

 このような話は、被災地のガレキ処理引き受けの問題や沖縄の米軍基地の問題などあらゆる問題に見られます。しかし、翻って冷静に考えてみればこれらの問題は総論としては賛成なのだが被災地のガレキも沖縄の米軍基地も自分の住んでいる街に持ってこられるのは困ると言っていることに等しいことではないでしょうか。私を含めて、人間は元来自分本位な動物であることは仕方のないことかもしれませんが、一方で原発にしても基地にしても私たちはそれなりに恩恵を受けてきたのも事実です。おそらく、最終的には国民全員の責任として各自が応分の負担を引き受けるしかないでしょう。そのためにも、まずは政府や責任ある立場の人たちが持っている情報や事実を包み隠さずすべて明らかにして、ひとりでも多くの国民の理解を得られるよう不断の努力をしていくべきであると考えています。

 そして、実はこのように総論賛成!各論反対!という現象は、私が最も力を入れて携わっている遺言の分野でも起こっています。

 一般市民向けの講演会などで遺言の必要性をお話しすると、参加された方からは『やっぱり遺言は書いたほうがいいと理解できた』という感想をたくさんいただきます。

 しかし、個別相談会で遺言をお勧めすると、ほとんどの方が『うちは子供たちも仲がいいから大丈夫じゃないか』あるいは『状況が変わるかもしれないし、あまり早く書いてもなあ』など遺言を書かない理由(書きたくない理由)をたくさん述べられます。遺言を書くことはとても有意義なことだとは理解できるのだが、いざ自分が書くというのはちょっと抵抗がある、おそらく一般の方は遺言をそのように捉えてしまっているのが現実でしょう。

 もっとも、一般の方がこのようにお考えになっているのは、私たち法律専門職の説明不足に大きな原因があると私は考えています。

 これまで、一般の市民に向けて『遺言を書くことの意義や必要性』について分かりやすく伝えようとしてきた法律専門職は、私が知る限りほとんどいませんでした。そして、一般の市民の方々もこれまでは相続トラブルに巻き込まれることがなかったために、自らすすんで情報収集しようとする方もまたほとんどいなかったのかもしれません。

 ところが、残念なことに昨今は一般の方にも相続トラブルが発生してしまうことが珍しくなくなってきました。きちんとした遺言さえあればこんなにみにくい相続争いはおそらく起きなかっただろうにというケースを私はたくさん見てきました。

 確かに、遺言を書くということはご自身の終焉をイメージすることにほかなりません。そこでは楽しさや嬉しさを感じることは難しいことかもしれません。

 しかし、ご自身が亡き後で、大切なご家族を不毛な相続トラブルに巻き込まないための配慮をしておくことは、先に逝く者の責務ではないでしょうか。きちんとした遺言を書くということは、残されたご家族を相続トラブルから守るという側面もありますが、遺言者自身にとってもきちんとした遺言書があるのだから我が家では相続トラブルなどまず起きないという根拠と自信に基づいた安心感を得ることができるのです。特に、一般の方についてはたとえ状況が多少変わったとしてもいちいち遺言を書き直さずに済む書き方もいくつかあります。元気なうちに早めに遺言を書くことこそが、実は安心して長生きをするためのコツであると断言できます。

 そのためにも、私自身もすでに遺言を書いています。弊事務所においでいただければ、私の遺言原案をお見せしながらあなたにとって最良の遺言とするにはどうしたらいいか、惜しみなくすべてお話しをさせていただきます。

 これからも私は、一般の市民の方の相続・遺言に対する誤解や不安を解きほぐしながら、素晴らしい人生のエンディングを安心して迎えるお手伝いをする法律専門職として、ひとりでも多くの方に『元気なうちに遺言書を書くこと』のご提案をし続けていきます。
 

この記事を書いたプロ

加藤俊光

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