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加藤俊光

おひとりさま・おふたりさまの様々な悩みに寄り添う行政書士

加藤俊光(かとうとしみつ) / 行政書士

相続まちなかステーション/加藤法務行政書士事務所

コラム

相続問題は、相続人ご自身が向き合わなければ決して解決することはできません

2012年1月19日 公開 / 2018年9月22日更新

テーマ:時々雑感【平塚|法律専門職の視点】

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き相続問題

 先日のことですが、まったく知らない方から『ちょっと相談をしたいのですが・・・』とお電話をいただきました。その方は、ご自分のお名前も名乗らずに『少し前に祖父が亡くなったのですが、母が・・・』と一方的にお話しを始めようとされました。

 相続専門行政書士として業務に携わっていると、こういう困った方に時々出会うことがあるのもまた事実です。他の専門家や他の事務所ではどのように対応しているかは知りませんが、私は電話やメールでのご相談には応じないことにしています。

 なぜならば、相続というのはその方の人生そのものと捉えるべき重大な問題であり、わずかな時間でお話を伺っただけでは判断出来ないことのほうが多いからです。電話でお話をすると『言った言わない』あるいは『そういう意味で言ったのではない』などどうしても行き違いやトラブルが起きやすいものです。また、メールでのご相談では相談者はご自身の言いたいことや聞きたいことだけを書いてくることが多いのですが、それだけでは判断が困難なことが多くどうしてもこちらからもこれまでの事情や経緯をお聞きしなければならないことが出てきてしまい、結局は何度もメールでのやり取りをしなければならないからです。

 以上の理由から、私の相続相談は有料・無料を問わず弊事務所においでいただくか、またはご指定の場所にご訪問して直接対面による方法のみで対応させていただいており、たとえどなたであっても同じ対応をしています。

 そこで、この方にも私の方針をご説明して、『一番早い無料相談会をご予約の上でおいでいただくか、2時間まで9800円でご希望の日時をお取りします。また、ご本人にお伺いしなければ判断できないことも考えられますので、ご本人においでいただくことは可能でしょうか』とお話ししました。

 すると、その方は何と『本人は他人には相談したくないと言っています』とおっしゃるではありませんか。こういうケースも実はよくあることです。弊事務所にも昨年一年間で、ご本人ではなく親に遺言を書いてほしいと考えている子供さんや、ご兄弟と相続トラブルになってしまっている方の奥様がご相談にお見えになったことがありました。

 確かに、ご家族をご心配するお気持ちは私にもよく分かります。

 しかし、ご本人でなければ詳しい経緯や事情は分かりませんし、ましてや遺言を書くかどうかという問題やどのような内容で遺産分割協議に合意するかという問題はご本人の意思が最も尊重されなくてはならないのです。

 したがって、ご本人を抜きにしていくら周りで騒いでみたところで、結局解決することはできないと考えて、『相続の問題はご本人が向かい合わなければ決して解決することはできません。ご本人が私に相談してみようと思われたら、その時にはご連絡をいただければ対応させていただきます』とお伝えすると、その方はご気分を害されたのか一方的に電話を切ってしまいました。

 私は、相続問題はもちろんですが、結婚や離婚、そして終末期にどのような治療・ケアを受けるかという問題は、ご本人の意思が最大限尊重されるべきであるとともに、ご自身の責任としてご本人が正面から向かい合って解決すべきであるという信念を持っています。

 もしかしたら、他人からは『融通の利かない男』あるいは『不器用な男』と思われるかもしれませんが、私はこの方針を守り続けながら、ひとりでも多くの方の相続トラブルを未然に予防・円満に解決するためのお手伝いをし続けていきます。

この記事を書いたプロ

加藤俊光

おひとりさま・おふたりさまの様々な悩みに寄り添う行政書士

加藤俊光(相続まちなかステーション/加藤法務行政書士事務所)

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