コラム
四十二にして惑わず 自分自信の使命を確信
2012年1月6日 公開 / 2018年9月22日更新
昨日より仕事始めとなりました。改めまして新年おめでとうございます。
昨年は、大震災や台風などの自然災害に直面しながら、政治は停滞してほとんど指針を示すことができず、もどかしさを感じさせられた一年でした。そんななかでも、大半の人は理性と誇りを見失うことなく人間関係の『絆』や『縁』を再認識して、自分自身ができることで協力を申し出る人の多さに救われたことが幸いでした。
そしてまた、私自身も昨年はいろいろなことがありました。まずは、昨年の年賀状で宣言させていただいた『相続・遺言に関する無料相談会』を一年間途切れることなく毎月実施することができました。そして、実際に依頼を受けた公正証書遺言原案作成では、遺言者の想いを自分のこととして感じることで人間関係の『絆』を実感することができました。また、各種団体での外部講師を務めるとともに、地元FM湘南ナパサの情報番組『ひるNapasa』にコーナー出演して、一般の方に急増中の相続・遺言トラブルについて解決策や予防方法を分かりやすくお話しさせていただく機会にも恵まれました。どちらも、予想以上にご好評をいただくことができて、今年もすでにいくつかの団体から講演依頼を受けることができ、またFMナパサについてもしばらく出演させていただけるようです。人と人との『縁』に感謝する、そんな一年でした。
今年こそは、人々が『縁』や『絆』を大切にしながら、笑顔や喜びが絶えることのない穏やかな一年になってほしいと願わずにはいられませんが、残念なことにもっと予想外の厳しい事態が起こらないとも限りません。
もっとも、今の時代を生きていく上では、確実なことなどひとつとしてありません。だからこそ、たとえどんな時代になっても、あるいはどんなことが起きても決して自分自身の立ち位置や確たる理念を見失うことなく対処するしか方法はないと思っています。
この点、世の中には相続・遺言を主要業務とする専門家が大勢います。そして、彼らの中には『人間関係が崩れても節税を重視する』、あるいは『自分本位な依頼者の言いなり』といった対応がたびたび見受けられます。
しかし、わずかな相続税を節税することばかりに関心を奪われて、相続人同士の人間関係が決定的に壊れてしまうことほど不幸なことはありません。相続人同士が何年にもわたって裁判所で争ったところで、膨大な時間と費用をかけたわりには結局のところ当事者にわだかまりが残るだけで、私に言わせれば裁判など無益・無駄というほかありません。
そもそも、相続は残された遺産の分配という側面もありますが、実は相続人同士のこれまでの経緯や事情、感情の調整という側面もあるのです。だからこそ他人事と考えたりせずに、起こりうるリスクを正しく把握し、適切な措置を講じることが必要なのです。
そんなことが本当にできるのだろうか悩み迷い続けながら業務に携わってきましたが、昨年一年間の業務の中で、①すべての相続人に十分な配慮をした遺言書があれば、相続が不毛で無益な『争続』となってしまうことはほぼ回避できることはもちろん、②遺言がなければ法定相続が原則であり、遺産分割協議は相続人全員が満足するための場ではなく、相続人全員が少しずつ不満を引き受ける場とすべきであり、相続人全員と等間隔に接しながら理解と譲歩が得られれば、不毛で無益な裁判所での解決を回避して当事者の話し合いで円満に解決することができることを確信し、誇りをもって実践してきました。
私は、四十二にして惑わされることなく、ひとりでも多くの方に『争わないための遺言書』のご提案をし続けながら、生涯この仕事に携わっていきます。
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