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加藤俊光

おひとりさま・おふたりさまの様々な悩みに寄り添う行政書士

加藤俊光(かとうとしみつ) / 行政書士

相続まちなかステーション/加藤法務行政書士事務所

コラム

たとえ不満が残るとしても、遺産分割協議は妥協と譲り合いが必要です

2011年11月29日 公開 / 2018年9月22日更新

テーマ:時々雑感【平塚|法律専門職の視点】

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: お墓

 先週の日曜日に投開票が行われた大阪府知事・市長のダブル選挙は、大阪都などの話題作りに成功した地域政党が勝利を収めました。2005年の総選挙以来、選挙の争点を分かりやすい一点に絞ってしまい単に是か非かを問う手法を用いようとする候補者がいますが、この傾向に危惧感を抱いているのは私ひとりではないと捉えています。

 なぜならば、世の中には様々な立場の人がいて、当然多様な意見があってしかるべきであり、それらの多種多様な意見を広く取り入れてまとめ上げていくことが政治だからです。政治はまさに妥協と譲り合いの連続であり、決して敵味方に分かれて罵り合ったりするものではないはずです。

 いくつかの異なる意見があることを前提に、十分に時間をかけて話し合い、お互いが少しずつ譲り合って一定の方向性を見出すとともに、自らの意思で話し合いに参加した以上は誠実に合意を順守しなければならない。この考え方こそが私たち人間が作り出した社会ルールであり政治そのものではないでしょうか。

 実はこの考え方は、誰が何を相続するかの話し合い、いわゆる遺産分割協議にもまったく同じことが言えるのです。

 相続が開始したときに遺言がなければ法定相続が原則である以上、全ての法定相続人に平等に権利があることになるのです。

 しかし、どんな家族にも多かれ少なかれこれまでの経緯やお互いの思い違い、さらには感情の行き違いなどがある以上、遺産分割協議の場においては様々な要望や意見が出てくることがあります。そして、これまでの経緯や事情とともに、今後の人間関係や事情も加味しなければならないところに遺産分割協議の難しさがあるのです。確かに、法律には各相続人の法定相続分というものが規定されていますが、①土地・建物を本当に法定相続分通りにきっちりと分けることができるでしょうか、あるいは②親の介護はもちろん今後お墓を守っていくことも本当に法定相続分できっちり分担し合えるでしょうか。

 相続は、単に残された財産をどうやって分けるかという問題だけで解決できるものではありません。今後必要となる負担に対する対応や人間関係にまで目を配る必要があるのであって、これらは車の両輪のようにしっかりとかみ合う必要があるのはもちろん、これらがしっかりとかみ合った時にこそ『当事者の話し合いで円満に解決できた』と言えるのではないでしょうか。

 とても困難であり忍耐が要求されることですが、私はこの方法こそが『当事者にとって最良といえる円満な解決方法』であって、このような解決方法をとれば今後も円滑な親族関係を続けていくことができるはずであると確信しています。

 相続人同士が何年にもわたって裁判所で争うことほど無益で無駄なことはありません。これからも私は、ひとりでも多くの方に『当事者の話し合いで速やかに円満に解決するための遺産分割協議書』のご提案をし続けていきます。 

この記事を書いたプロ

加藤俊光

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加藤俊光(相続まちなかステーション/加藤法務行政書士事務所)

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