高齢者を支える法律専門職として、『在宅ケアフェスタ IN ひらつか』に出展いたしました
前回のコラムでは、遺言とエンディングノートの最大の違いは『法的効力を有するかどうかである』というお話をしました(『遺言とエンディングノートの違い!(1) あなたはどちらを選びますか?』 10月7日公開済みです。こちらもどうぞお読みください)。
もう少しわかりやすく言えば、遺言は『法に訴えかけるもの』であり、エンディングノートは『感情に訴えかけるもの』と区別できるのかもしれません。
確かに、遺言に比べるとエンディングノートはご自身がこの世を去られた後のことについて残された方に伝えたい想いをいろいろと書きやすいイメージがあるのかもしれません。
しかし、遺言も『付言』(ふげん)という項目を作ることによって、残された方にあなたの想いをたくさん散りばめてしっかりと確実に伝えることができるのです。
例えば、私はすでに遺言を書いていますが、私の遺言ではおよそA4の用紙にして1ページ半・37行を使って付言を書いています。内容としては、そもそもどうして遺言を書こうと思ったのかから始まり、それぞれの財産をどうしてそのように分けてほしいと考えたのか、また事務所の業務関係の引き継ぎに関しての取り決めや身の回りの品々の処分についての要望、残された妻と子供に対しての感謝の気持ちと周囲の方々への可能な限りの配慮のお願いなどを書き連ねました。遺言公正証書作成当日には、公証人の先生からも『とても気持ちがこもった、思いやりのある優しい遺言書ができましたね』とお褒めの言葉を頂戴し、自分の遺言作成でありながらも非常にうれしく感じ、また自分に万一のことがあったとしても妻や子供が不毛な相続トラブルに巻き込まれることはまずありえないと確信することができて、とても安心した気持ちになれたことを誇りに思っています。
遺言公正証書は、公証役場で公証人が作成するため法的な効力について問題が生じるようなことはまずありません。しかも、遺言公正証書の原本は遺言者が120歳になるまで厳重に保管されるため、紛失や書き換えなどのおそれもありません。
また、付言(ふげん)を上手に利用すれば、どうして遺言を書こうと思ったのかや財産をどうしそのように分けてほしいのかなどはもちろんのこと、残された方への感謝の気持ちや配慮してほしいことや要望なども書き連ねて伝えることができるのです。書き方や内容を工夫すれば、決してエンディングノートに負けないくらいの遺言者の想いをたくさん詰め込むことだってできるのです。そのうえで、法的効力はエンディングノートとは比べものにならない安心感を備えているのですから、もしこれからエンディングノートを書こうと思っている方はもちろんすでに書いたという方も今一度公正証書遺言の利用をご検討されてはいかがでしょうか。
私が作成する公正証書遺言原案は、決して『法に訴えかける』ことだけを目的にしたどこにでもある遺言書ではありません。自らも遺言を書いた経験を生かして、可能な限り遺言者の想いを散りばめて想いのこもった遺言書となるようなご提案をしています。百聞は一見にしかずと言いますが、想いのこもった付言とはどんなものか、弊事務所においでいただければ私の遺言の付言をお見せしてご説明いたします。