高齢者を支える法律専門職として、『在宅ケアフェスタ IN ひらつか』に出展いたしました
ある知人のご紹介で離婚をお考えになっている女性の方のご相談をお受けしました。
お子様もおられることから、何とか離婚を回避することはできないものかといくつかの方策を模索してみましたが、離婚の意思はかなり強固なもので、財産分与や養育費の支払いについてはほぼ話がついているとおっしゃっていました。
しかし、正直なところ私はこの方のお話をうかがって、とても不安を覚えずにはいられませんでした。なぜなら、離婚に際しての最も大切な大前提を思いのほか軽くお考えになっていて、不確実な前提をもとにそのあとの住宅ローンやお子様の学資準備金に関心をお持ちになっているからでした。
思うに、低迷する経済情勢はなかなか回復の兆しを見せない中で、今後働く人々を取り巻く環境が劇的に好転するとは考えにくいです。さらに、人生はどこでどのようなご縁があるかもわからず、再婚されて新しいご家族ができないとも限りません。
とすれば、これから10年20年先まで養育費を支払い続けることがどれほど大変かつ困難なことか想像に難くないのではないでしょうか。事実、離婚して数年で養育費の支払いがなされなくなるばかりか連絡まで付かなくなってしまい、『こんなことになるとは思わなかった』と途方に暮れてしまう方が激増しています。誤解を恐れずに言わせていただくと、『子供が成人するまできちんと養育費を支払ってくれるだろう』というのは、リスクを直視しない思い込みあるいは願望に近いものだと捉えています。
当事者だけで冷静に話し合いをすることは極めて困難なのが離婚の問題です。そこで私は、その後の生活環境の変化などもあることから、法律上のことはもちろん今後のことを含めて客観的な立場の専門家に相談したほうがよいこと、また離婚時における合意事項は『公正証書』にして後々のトラブルを可能な限り予防すべきこと、住宅ローンやお子さんの学資準備金などはそのあとに考えるべき問題であることを助言いたしました。
私は、予防法務の専門家として『離婚の極意を見落とすことなく円満に離婚協議が整う』ことを願い、またひとりの人間として『勇気をもって踏み出す一歩が新しい幸せに向かうこと』を心から祈ってやみません。