職場のハラスメント撲滅月間に学ぶ:判例と企業事例から考える職場の守り方 ~第1部:ハラスメントの実態と裁判例から見える企業の責任~
はじめに
第3部では、雇用動向調査のデータから、人件費上昇の財務リスクと離職理由に応じた労務の課題について解説しました。
第4部では、「財務×労務」の両面の視点から、企業が人手不足時代を生き抜くための対策を考察します。
財務の対策:価格転嫁と生産性向上による原資確保
人件費や社会保険料の増加に対応するためには、根拠のある財務戦略が不可欠です。
単に給与を上げるだけでは利益と資金繰りを削るだけになります。
根拠のある賃上げを実現するために、事業計画策定を以下のように進めます。
- 適正な価格転嫁の実行:人件費上昇分を価格へ適切に反映させる交渉を進める
- 生産性向上のためのIT・設備投資:少人数で業務を回せる投資を実施し、付加価値を高める
- 根拠ある資金計画の策定:賃上げや設備投資に必要な資金を算出し、価格転嫁と生産性向上を織り込んだ事業計画を策定する
労務の対策:ターゲット別制度見直しと定着化
優秀な人材の離職を防ぎ、流動性の高い労働者を定着させるためには、実態やニーズに即した人事労務制度の見直しが必要です。
1.給与体系と評価制度の刷新
男性の離職理由である金銭不満に対し、成果や貢献度に応じた公平性のある賃金制度を導入する。
2.柔軟な働き方の推進
女性の離職理由である労働条件不満に対し、短時間勤務、有給休暇の取得促進、シフトの柔軟化を進める。
3.パート層の正社員登用とシニア活用
離職率が19.9%に上るパート層への正社員登用制度の拡充や、定年退職層(シニア人材)の再雇用条件の見直しを行う。
財務と労務を統合した経営戦略
財務管理と労務管理は、別々に考えるものではありません。
「人件費投資による生産性向上」と「定着率向上による採用・教育コスト削減」を連動させることが、人手不足時代に必要な戦略です。
まとめ
【今回のポイント】
- 価格転嫁と生産性向上をセットにした事業計画を策定し、賃上げのための適切な財務原資を確保する
- 評価制度の見直しや柔軟な働き方の導入など、男女別・雇用形態別の離職理由に応じた労務改善を実行する
- パートの正社員登用やシニア再雇用の見直しにより、人材の定着と流出コスト削減を実現する
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