偏差値10以上の差を吹っ飛ばして、第1志望校に合格 した女の子

篠田啓彦

篠田啓彦

テーマ:合格実績


「この子には、ちょっと難しいかもしれません」




中学受験では、どうしても「偏差値」が気になります。

志望校の偏差値と、現在の子どもの偏差値。

その差が大きければ、

「合格するのは難しいのではないか」

「もっと偏差値を上げなければ……」

と、保護者の方は不安になります。

今回ご紹介するのは、当塾に小学5年生の初めに入塾した女の子のお話です。

入塾する前は、大手進学塾に通っていました。

しかし、授業についていくことができず、転塾してきました。

入塾時の算数の偏差値は40以下。

国語も45程度でした。

しかも、算数については、学校で学習する内容にも十分に理解できていないところがありました。

そして、彼女が目指した第1志望校は、当時の偏差値から10以上も離れていました。

普通に考えれば、

「かなり厳しい挑戦」

だったと言えるでしょう。

それでも、彼女は第1志望校を目指すことになりました。


まず、「勉強」だけを見るのではなく「家庭」を見る


このご家庭との最初の面談で、私はお母様にあることをお伝えしました。

それは、

「受験勉強だけではなく、ご夫婦の関係がとても大切です」

ということでした。

中学受験というと、

「どんな教材を使うか」

「どれだけ勉強するか」

「どうやって偏差値を上げるか」

という話になりがちです。

もちろん、それらも大切です。

しかし、子どもが長期間にわたって受験勉強を続けていくためには、家庭の雰囲気も非常に重要です。

そこで、感謝ノートや長所ノートのつけ方などについてもお話ししました。

幸い、ご両親は私の話を素直に受け入れてくださいました。

私は、このご家庭の「素直にやってみよう」という姿勢が、その後の受験生活に大きな意味を持ったのではないかと思っています。


算数は「できるところ」まで戻る


彼女の算数対策は、決して難しい問題から始めたわけではありません。

まずは、

100マス計算などの計算練習から。

そして、

・計算問題

・1行問題

を中心に、一つずつ積み上げていきました。

「志望校の偏差値が高いから、難しい問題をやらなければいけない」

と考えてしまうことがあります。

しかし、基礎が十分にできていない状態で難問に取り組んでも、なかなか力は伸びません。

大切なのは、

「今、その子に必要なところまで戻る」

ことです。

焦らず、できることを一つずつ増やしていく。

それが結果的に、難しい問題に立ち向かう力につながっていきます。


それでも、模試の結果はなかなか伸びなかった


もちろん、順調なことばかりではありませんでした。

国語は徐々にまずまずの状態になっていきましたが、算数については、模試でなかなか結果を出すことができませんでした。

勉強すること自体がつらく感じられる時期もあったそうです。

それでも、彼女はなんとか頑張ってくれました。

ここで、受験生にとって大切なのは、

「結果が出ない時期をどう乗り越えるか」

だと思います。

偏差値が上がらない。

模試の成績が思うようにならない。

周りの子がどんどん伸びているように感じる。

そんなとき、子ども自身が「自分はダメなんだ」と思ってしまうことがあります。

だからこそ、周囲の大人が、

「今は結果が出なくても、やっていることには意味がある」

と支えてあげることが大切なのです。


10月、人生を左右する決断


さらに、このご家庭にはもう一つ大きな決断がありました。

彼女は私立小学校に通っていたため、そのまま系列の中学校へ進学するのか、それとも中学受験をするのかを、10月までに決めなければなりませんでした。

ご家族で話し合った結果、

系列の中学校には進学せず、中学受験に挑戦する。

そして、もし受験がうまくいかなかった場合には、地元の市立中学校へ進学する。

という方針を決めました。

実は、本人は意外と楽観的でした。

「地元の中学校の制服は気に入っているから、そこでもいいよ」

と言っていたそうです。

この言葉には、彼女らしさが表れているように感じます。

「絶対にこの学校に合格しなければ人生が終わる」

というような追い詰められた状態ではなかったのです。

もちろん、第1志望校を目指して努力する。

しかし、結果がすべてではない。

この気持ちが、彼女を最後まで支えたのかもしれません。


そして、2月1日




いよいよ第1志望校の入試当日。

ところが、この日は本人の体調があまりよくありませんでした。

お母様はかなり心配されたそうです。

本人も、体調の影響もあって、試験はあまりできなかったようです。

そして結果は――

不合格。

第1志望校には合格できませんでした。

一方、第2志望校については、本人なりに「できた」という感触があったそうです。

「やっぱり偏差値の差は埋められなかったのか」

そんなふうに思ってしまう結果だったかもしれません。

ところが――

ここから、思いもよらない展開が待っていました。


数日後、学校から届いた知らせ




後日、第1志望校の校長先生から連絡がありました。

その内容は、

「補欠合格」

でした。

その後、第2志望校の合格も確認されました。

そして、彼女が選んだのは――

第1志望校への進学でした。

入塾時、算数の偏差値は40以下。

国語は45程度。

そして第1志望校とは偏差値10以上の差がありました。

それでも、最後には第1志望校へ進学することができたのです。


「偏差値」だけでは説明できないもの


受験後の面談で、興味深い話がありました。

本人によると、入試当日は体調が悪かったことで、かえってあまり緊張せずに受験できたのではないか、ということでした。

もちろん、本人が努力したことは言うまでもありません。

基礎から一つずつ勉強し、苦しい時期も乗り越えました。

しかし、この受験を振り返って、私はもう一つ大切なことを感じました。

それは、

家庭の絆です。

ご夫婦がお互いに支え合う。

親が子どもを信じる。

子どもが安心して受験勉強に向き合える家庭をつくる。

こうしたことは、模試の偏差値には数字として表れません。

しかし、長い中学受験生活を支える大きな力になるのではないでしょうか。


中学受験で、本当に大切なもの


中学受験では、どうしても偏差値や合格可能性に目が向きます。

もちろん、数字は大切です。

しかし、

偏差値だけで子どもの可能性を決めることはできません。

入塾時の偏差値が低かったとしても、そこから何を積み上げるか。

模試の結果が伸びなくても、どうやって努力を続けるか。

そして何より、

子どもが安心して頑張れる家庭をつくれるか。

これらも、中学受験において非常に大切な要素です。

今回の女の子は、まさにそれを教えてくれた受験生でした。

第1志望校との偏差値の差は10以上。

算数は偏差値40以下からのスタート。

途中には、勉強がつらく感じる時期もありました。

それでも、本人は頑張りました。

そして、ご両親も一緒に頑張りました。

その結果、最後には第1志望校への道が開かれました。

子どもの可能性は、現在の偏差値だけでは決まりません。

啓理学舎では、目の前の成績だけを見るのではなく、

「なぜ、この子は今つまずいているのか」

「どうすれば、この子が自分から頑張れるようになるのか」

「家庭では、どのように子どもを支えていけばよいのか」

というところまで考えながら、一人ひとりの受験をサポートしています。

中学受験は、子どもだけの戦いではありません。

子ども・保護者・塾が一緒になって進んでいくもの。

この女の子の受験は、そんなことを改めて教えてくれた、忘れられないエピソードです。

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篠田啓彦
専門家

篠田啓彦(塾講師)

国語専門オンライン学習塾 啓理学舎

保護者の方に家族関係改善等を助言させていただくとともに、国語が苦手なお子さまでも特別な学習方法で真の「基礎学力」「国語力」が身につき、さらに各教科の成績向上、中学・高校合格へ導いている。

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