経営者の共依存の回復と抵抗 case vignette 事例検討のための物語り  

明石郁生

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テーマ:アダルト・チルドレンという生きる力




case vignette 事例検討のための物語り

会社員、40代 男性 自営業 経営者

この事例では、(自分が思っている)だめな人の心配とケア、めんどうをみなくてはいけないという気持ちにとらわれている心の動きについて振り返ります。

そうすることで彼は、自身に頻繁に無自覚に浮上してくる不安を和らげ、自尊心を維持しようとしているかも知れません。

それは、ある一定の期間、不安を和らげ、自尊心を維持することに成功しますが、自分の感情、身体感覚を基盤とする「自己」を育む機会を失い続けるという大きな損失がともないます。自己愛毀損から生じる人間関係性依存(症)、共依存(症)と呼ばれる状態と言えるでしょう。

一方、この状態には魅力的なメリットがあります。自身の人間関係の課題にとりくまないで済みます。依存的な関係に没頭したり、あるいは、親密な関係性の交流にともなう健康的な葛藤を避けて、人間関係を切り捨ててしまったりと。

また、自分の内面にあるこれまで生き延びてきた力、経験、知恵、能力を自分のものとして受けとらず、結果的に、自分の内面にある幸福を自分で見つける責任をとらずに、現状の困難を他者や社会のせいにしていられるかも知れません。

彼はワークを通して、自身に気づきをむけ、残りの人生の満たし方、彼自身の幸せに触れそうになるが、彼自身の大きな抵抗に戸惑い、とどまっているのかも知れません。

だめな人(他者の)めんどうをみなくてはいけないという強い気持ちはおさまりつつありますが、いまでは、自分が自分が幸せになることに無自覚な罪悪感、自己嫌悪が浮上しているかも知れません。

引き続き、自己愛の修復に焦点をあてたワークにとりくむ彼の姿勢に勇気をもらうことができます。

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明石郁生
専門家

明石郁生(臨床心理士・カウンセラー)

家族とAC研究室

統合的アプローチでは、家族、人間関係の問題、共依存、依存症、身体症状などを変化や成長のための大切なプロセスと捉えてカウンセリング・コンサルテーションを実践します。

明石郁生プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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