アルコール依存と依存「症」の関連について、その2 スリカエられた充足感

明石郁生

明石郁生

テーマ:ACカウンセリングの臨床現場から



お酒とは、
適度な関係性であれば、人生の潤滑油や醍醐味として体験できる側面を持つと言えます。
前回は、「依存」とは、自然な関係性であると述べました。

それではどのような過程を経ると、依存→依存症に、変化するのでしょうか?

精神科医の斎藤学は、依存症とは、本人の心身・思考の働きを制限、停止することで、擬似的な平穏をもたらし、「ほんとうの自分の問題」(人間関係の葛藤)への直面をとりあえず、先送りできるというメリットがあるからだと述べています。

たとえば、ほんとうの自分自身とは「さみしさ」を感じているのに、
「さみしさ」とは、かっこ悪いものだ!ださいものだ!イケてない!

という取り込みに翻弄されていることに気づかないでいると、

自分自身を隠して、他者と良くつながりたいと頑張りすぎてしまうかもしれません。
仕事場や学校で、一生懸命にがんばって、
家に帰り、ひとりになると、ヘトヘトに倒れ込んでしまう。

でも、ひとりになると浮上してくる「さみしさ」を感じないようにとますます邁進します。

こういう状態を、自分を失っている状態といいます。
この状態では健全な自己愛が育まれず、その結果、自己肯定感が低くなり、他者に承認されたい感情が肥大して、ますます、がんばってしまうかもしれません。

どれだけがんばっても「さみしさ」は埋まらないのです。同じように、
どれだけお酒をのんで、「さみしさ」を「スリカエ」ようとしても、もともとの、さみしさ、不安などを解消することはないでしょう。酩酊すると、いっときは忘れられるかもしれないが、これを、「スリカエられた充足感(興奮や麻痺)」と呼びます。

でも、すぐに、もともとの「さみしさ」、不安がやってくるので、また飲まなくてはいけなくなる。

こういうように経過して、いっときのスリカエられた充足感を求めて、意識ではやめられない依存症に発展するかも知れないのです。
スリカエられているので、やめられないんです。

ACカウンセリングでは、「スリカエ」する行動を無力化するアプローチをするのです。

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明石郁生
専門家

明石郁生(臨床心理士・カウンセラー)

家族とAC研究室

統合的アプローチでは、家族、人間関係の問題、共依存、依存症、身体症状などを変化や成長のための大切なプロセスと捉えてカウンセリング・コンサルテーションを実践します。

明石郁生プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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