日繰りを「家族経営の共通言語」にする。 ー台所から始まる、やさしい経営の形 (日繰りで整える、家族経営の台所(第7回))

試算表は出している。
数字も説明している。
それでも、なぜか相手の反応が鈍い。
そんな悩みを抱える経営者の方は少なくありません。
銀行との面談。
家族との話し合い。
税理士との打ち合わせ。
経営者には、数字を言葉にして伝える場面が何度もあります。
会社経営では、数字を使って話す場面がたくさんあります。ですが、数字を見せるだけで相手に伝わるとは限りません。なぜなら、数字は結果であり、相手が知りたいのは、その背景とこれからだからです。今回は、数字を見せても伝わらない会社と、自然と伝わる会社の違いについて、小さな会社の現場目線でお話しします。
数字そのものより「意味」が知りたい
たとえば、
・売上 1,000万円
・利益 50万円
・借入残高 2,000万円
こうした数字だけを並べても、相手には判断しづらいことがあります。なぜなら、
・前年より良いのか悪いのか
・一時的なものか継続的なものか
・今後改善する見込みがあるのか
が分からないからです。数字は大切です。ですが、数字だけでは会社の実態は伝わりきりません。
1 増えた・減った理由を話せるか
伝わる会社は、数字の変化に理由があります。
たとえば、
・売上減少は得意先の在庫調整によるもの
・人件費増加は採用強化のため
・利益減少は設備更新の先行投資
こうした説明があるだけで、数字の見え方は大きく変わります。
逆に、
「なぜ減ったのか分からない」
「なんとなく忙しかった」
この状態では、相手も不安になります。
2 今後どうするかが見えているか
過去の説明だけでは十分ではありません。
伝わる会社は、その先も話せます。
・来月から新規取引が始まる
・値上げ交渉を進めている
・不採算商品を見直している
・支払い条件を調整中
完璧な計画でなくても構いません。今後に向けて動いていることが伝わると、相手は安心しやすくなります。
3 社長自身が把握しているか
資料を経理担当者や税理士が作ること自体は問題ありません。ですが、社長自身が状況を把握していないと、伝わりにくくなります。
・今いくら資金があるのか
・今月の山場はいつか
・何に困っているのか
・何を優先したいのか
このあたりを社長が自分の言葉で話せる会社は、強いです。
どこまで話すかは、ひとりで抱えなくて大丈夫です
ここで悩まれる方も多いです。
「正直に話した方がいいのか」
「細かく伝えすぎると不利にならないか」
「どこまで説明すれば十分なのか」
実際には、会社の状況、資金繰り、取引先との関係、銀行との付き合い方によって、答えは変わります。そのため、何でもかんでも話せば良いわけでもなく、逆に何も話さなければ伝わりません。大切なのは、適切に整理して伝えることです。
ひとりで悩むより、
・自社の状況をよく知っている人
・銀行との取引経緯を理解している人
・数字と現場の両方を見られる人
そうした伴走者と相談しながら決める方が、落ち着いて判断しやすくなります。経営者には、考える相手が必要な場面があります。
最後に
数字を見せても伝わらない会社と、伝わる会社。その差は、数字の多さではありません。
・理由が話せる
・先が話せる
・社長が把握している
・伝え方を一人で抱え込まない
この積み重ねです。小さな会社ほど、社長の言葉が会社の信用になります。数字が苦手でも大丈夫です。まずは、数字の意味を自分の言葉で話すところから始めてみてください。
「相談するほどでもないかも」
そう感じる段階での整理こそ、有効なことがあります。


