「迷わなくなる」お金の見方──4つの色を意思決定につなげる方法(後編)

平岡誠司

平岡誠司

テーマ:経営のモヤモヤをワクワクに(おかね編)



「数字は見えるようになった。でも、どう判断すればいいのか分からない」

前編まで進めた方の多くが、ここで立ち止まります。日繰り表に色をつけ、収支を分解し、未来を予測する。ここまでできれば、すでに大きな一歩です。後編では、その先。見えるようになった数字を、どう“意思決定”につなげるかをお伝えします。

日繰り表を「判断の道具」にする

前編で整理した「4つの色」と収支の構造。それを使うことで、次のような問いに答えられるようになります。

  • 残高の推移はどうなっているか?
  • 資金が足りなくなるタイミングはいつか?
  • その原因は営業か、財務か?
  • 今のうちに打てる手は何か?



ここで大切なのは、「当たるかどうか」ではなく、「早く気づけるかどうか」です。

なぜ「予想」が必要なのか


「どうせ不確定なのに、予想して意味があるのか」
これは多くの方が感じる疑問です。

確かに、

* 売上(うる)はお客様次第
* 借入(かりる)は交渉次第

と、不確定な要素が多く含まれます。それでも予想をする理由はシンプルです。予想があるから、先に動けるです。

資金繰りは「予想→修正」の繰り返し


資金繰りは、次の流れで考えるとシンプルになります。

予想 → 予定 → 修正 → 実行 → 振り返り

いわゆるPDCAですが、ポイントは「最初から正確である必要はない」ということです。

むしろ、

* ざっくり予想する
* 実際とズレる
* ズレを修正する

この繰り返しが、精度を上げていきます。

逆に、予想がないまま日々を回している状態では、資金繰りは常に“後手”になります。

天気予報と同じです

天気予報を思い浮かべてみてください。100%当たるわけではありませんが、私たちは当たり前のように活用しています。

* 雨が降りそう → 傘を持つ
* 暑くなりそう → 予定を調整する

同じように、「お金の予報」があることで、行動が変わります。

* 先に支出を抑える
* 早めに資金を準備する
* 売上対策を打つ

予想は、未来を当てるためではなく、未来に備えるためにあるのです

見通しがあると、打てる手が増える


日繰り表を使って見通しを立てると、これまで見えなかった選択肢が見えてきます。

たとえば、

* 支払いタイミングの調整
* 固定費の見直し
* 借入の前倒し相談
* 売上施策の優先順位づけ

重要なのは、「ギリギリになってから考える」のではなく、“余裕があるうちに手を打てる”ことです。

小さな会社ほど「先読み」が効く

家族経営や小規模事業者にとって、資金繰りはまさに生命線です。

だからこそ、

* 小さな変化に気づく
* 早めに対策を打つ

この積み重ねが、結果を大きく変えます。

日繰り表は、

* 記録する
* 色をつける
* 分析する
* 予測する
* 振り返る

この流れを回すことで、経営の“先読み力”を高めるツールになります。

ここで止まるか、一歩進むか

ここまで読み進めた方は、すでに「見える化」はできています。

ただ実際には、

* 数字は出た
* 問題もなんとなく分かった
* でも、どう動けばいいか迷う

この状態で止まってしまうケースがとても多いのです。

これは能力の問題ではなく、判断の軸が一人だとブレやすいからです。

「一緒に見る」という選択


資金繰りの改善は、

* 見る
* 判断する
* 行動する

この3つがつながって初めて機能します。その中で最も難しいのが「判断」です。だからこそ、「誰かと一緒に見る」ことで判断の精度が上がります。

* この見方で合っているのか
* 優先順位はどこか
* 今やるべきことは何か

少し視点が入るだけで、行動は驚くほど具体的になります。

まとめ


今回のポイントは3つです。

  • 予想は当てるためではなく、備えるためにある
  • 資金繰りは「予想→修正」の繰り返し
  • 見通しがあると、打てる手が増える



ここまでできれば、日繰り表は「記録」から「判断」、そして「行動」へとつながるツールになります。もし、

「この数字で本当に大丈夫なのか」
「どこから手をつければいいのか整理したい」


そんな段階に来ている方は、一度整理した日繰り表をもとに、誰かと一緒に見てみるのも一つの方法です。一人で考えていたときには見えなかった選択肢が、自然と見えてくるはずです。

次回は、「迷わなくなったあとに変わること」──お金の流れを“伝える力”に変える方法をお伝えします。

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平岡誠司
専門家

平岡誠司(小規模事業者向け経営支援家)

株式会社平岡商店

経営者の実践経験を活かし、経理の見える化・日繰り・在庫管理を軸に、家族経営の経営管理の仕組みづくりを実行支援します。現場の気づきを経営判断につなげ、“らしさ”をいかした経営を一緒に育てていきます。

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