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トンネルの天井板落下事故や道路陥没事故などを機に注目が集まるインフラの老朽化。2012年、中央自動車道笹子トンネルの天井板落下事故が起き、インフラの老朽化が社会問題として認識されました。インフラには、道路や橋、上下水道など、多岐にわたる種類があります。2040年には道路橋の75%、トンネルの52%、上下水道管の3~4割が建設後50年以上経過するといわれています。
老朽化に対して、最も簡単な対策は更新投資です。新しく作り替えれば安全なインフラが誕生します。とはいえ、費用がかかる上、技能者の高齢化・人材不足もあり一筋縄ではいきません。現在の更新ペースだと完了まで100年以上かかるともいわれています。せめて、点検・整備でまかなおうとしていますが、追いついていないのが現状です。
こうした課題を解決する方法としてデジタル活用が一つとしてあります。一例を挙げると、インフラ位置情報の電子化があります。インフラ工事の場合、道路の下には電力やガス、水道、通信の設備など、さまざまなインフラ設備が埋まっています。あるインフラ工事を進めるにあたり、他のインフラを管理する事業者に位置などの情報をそれぞれ照会する必要が生じます。中には、紙の図面による管理も多くあり、手続きに多くの負担がかかります。
このような作業を効率化しようと、地下にある水道管などのインフラの位置を瞬時に把握するための技術開発が進んでいます。結果、どこに何が埋まっているのか簡単にわかるようになるほか、インフラ同士の位置関係などを細かく把握できるようになります。実証実験では、位置情報の照会などの申請作業の工数を大幅に削減できたといいます。ほかにも、AIを用いた点検など、デジタルの力を借りて、課題を解決しようとする動きがみられます。
トンネルの天井板落下事故や道路陥没事故などを機に注目が集まるインフラの老朽化。リスクはこれまで幾度となく指摘されてきましたが、水道など、インフラの更新・管理・整備には多額の費用がかかる上、人材不足が壁となっています。ある上下水道局では下水道関連の職員が2018年度には61人いましたが、2023年度には56人に減りました。こうした課題を解決するため、官民で公共サービスを提供する「PPP」や、その手法のひとつである「PFI」に注目が集まっています。なかでも、PFIを活用する動きが増えています。
PFIとは、「民間資金を活用した社会資本整備」といって、公共事業を実施するための手法の一つです。Private-Finance-Initiative(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)の頭文字をとっています。民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用して、管理・整備などを行います。あくまで地方公共団体が発注者となるので、完全な民営化とは一線を画します。政府は「PFI」の対象事業を拡大する方針を掲げています。
実は、インフラ老朽化は米国・欧州などでも共通の課題になっています。ドイツのドレスデンの中心部では2024年、橋が100メートルにわたり崩落し、市民生活に大きな影響が出ました。日本が他の先進国に先駆けて、インフラ維持・更新のイノベーションを起こすことができれば、同様の課題を抱える国へ助けとなります。また、アジア諸国もいずれ同様にインフラ老朽化の課題にぶつかります。日本がインフラの老朽化対策を成功させることは、ノウハウは国内にとどまらず他国への展開の可能性もあり、新たなビジネスの機会にも繋がります。
まだ、各国とも試行錯誤の段階にあり、明確な成功への方程式は生まれていません。そのような今だからこそ、日本が他国に先駆け挑戦し、成功事例となることを望みたいところです。


