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棚卸資産の評価損の取扱いとは?

伊藤惠悦

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テーマ:法人税

季節や流行によって売上が左右される衣服などの商品は、販売時期を逃してしまうと商品価値が著しく低下してしまうことがあります。
企業としては季節商品などで売れ残った商品について、その税務処理が気になるところですが、法人税法では、法人がその有する資産の評価替えをしてその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の金額は、原則として、損金の額に算入されないとしております。

ただし、一定の事実が生じたことによって、時価(処分可能価額)が帳簿価額(仕入価額)を下回ることとなった場合等には特例が認められております。
具体的に、法人が有する商品・製品などの棚卸資産について、
①災害による著しい損傷
②著しい陳腐化
③これに準ずる特別の事実、によりその価額(時価)が帳簿価額を下回ることになった場合には、損金経理により期末時価までの評価損を計上することが認められており、売れ残った季節商品で、今後通常の価額では、明らかに販売できなくなったことと例示されております。

棚卸資産の著しい陳腐化については、通達において、「棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることをいうのであるから、例えば商品について次のような事実が生じた場合がこれに該当する」とされております。
さらに、「その商品と用途の面では概ね同様のものだが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、その商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと」も著しい陳腐化の事実に該当するとしております。

また、「これに準ずる特別な事実」とは、
①破損、型崩れ、棚ざらし、品質変化等により通常の方法によっては販売できなくなったこと
②民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったことにより、棚卸資産につき評価換えをする必要が生じたことが例示されております。
ただし、棚卸資産の時価が、単なる物価変動や過剰生産、建値の変更などの事情によって低下しただけでは、原則通り、評価損の計上はできませんので、あわせてご注意ください。

(注意)
上記の記載内容は、令和7年6月2日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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伊藤惠悦(税理士)

伊藤輝代税理士事務所

半世紀の実績と信頼を礎に、現代の税理士に要求される様々なサービスを法人・個人問わず提供します。顧客のニーズを聞きとり、先を見据えた対策を提案。各分野の専門家と提携し総合的なサポートを展開します。

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