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減資による外形標準課税逃れへの対応

伊藤惠悦

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テーマ:法人税

外形標準課税から逃れるため、資本金を1億円以下に減資し、あるいは組織再編時に子法人の資本金を1億円以下に設定する法人への対応として、令和6年度税制改正では外形標準課税の適用対象法人を見直す措置が取られています。

◆資本金と資本剰余金の合計額が判定基準に
令和7年4月1日以後に開始する事業年度において、事業年度末の資本金1億円超の法人を外形標準課税の対象法人とする従来の判定基準は維持しつつ、「当分の間」、資本金1億円以下であっても、前事業年度が外形標準課税の対象法人であり、払込資本の額(資本金と資本剰余金の合計額)が10億円を超える法人についても外形標準課税の対象とされることとなりました。
また、駆け込みで減資を行う法人への対応措置として最初事業年度(令和7年4月1日以後、最初に開始する事業年度)には経過措置が適用されます。公布日(令和6年3月30日)の前事業年度から最初事業年度の前事業年度までのいずれかで外形標準課税の対象法人であったものは、課税される事業年度の「前事業年度」に外形標準課税の対象でなかったとしても、最初事業年度に資本金1億円以下で払込資本の額が10億円を超えるものは外形標準課税の対象とされます。たとえば3月決算法人が公布日後の令和7年3月期に駆け込みで資本金を1億円以下に減資した場合、令和7年3月期は外形標準課税の対象外ですが、最初事業年度の令和8年3月期に払込資本の額が10億円を超えるものは外形標準課税の対象法人とされます。
ただし、公布日前に行われた減資については、「駆け込み減資」として扱わず、一定の場合、経過措置の適用はありません。

◆100%子会社にも課税逃れ措置を実施
令和8年4月1日以後に開始する事業年度において払込資本の額が50億円を超える法人(またはグループ内の複数の法人)に株式を100%保有される子法人で払込資本の額(公布日以後に配当等により減少した額を加算した後の金額)が2億円を超えるものも外形標準課税の対象となります。
なお、経過措置として令和8年4月1日から令和9年3月31日までに開始する事業年度は、外形標準課税の対象外であるとみなした場合の事業税額を超える部分の3分の2が軽減され、令和9年4月1日から令和10年3月31日までに開始する事業年度は、3分の1が軽減されます。

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伊藤惠悦(税理士)

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