配偶者のみ相続の場合の税負担額
令和6年度の路線価が公表され、全国的に地価が上昇するなか、不動産活用に着目している人もいるのではないでしょうか。土地所有者が自分の主宰する同族会社を使ってアパート経営する場合、同族会社が借地に建物を取得すると借地権が生じます。
◆権利金の認定課税
土地使用の対価として権利金を収受する慣行のある地域では、同族会社は地代のほかに権利金の支払が必要となります。
権利金の目安は、更地の価額に借地権割合を乗じた金額となりますが、同族会社にとって相当な負担になります。そこで土地を無償又は低い地代で賃貸すると、同族会社の受贈益に権利金の認定課税を受けることがあります。
◆法人の受贈益には課税される
そもそも権利金の認定課税は、土地所有者と密接な関係にある同族会社であるからこそ生じます。第三者に土地を貸すときは、権利金を必ず収受するでしょう。税法は法人が営利を追求する存在としてとらえます。同族会社も法人である以上、第三者と同等、営利を追求すべき存在にかわりはなく、無償や低い地代で経済的利益を受けた場合にも課税の対象とするわけです。
◆認定課税を回避する2つの方策
認定課税を回避する方法は2つあります。一つは、借りた土地を将来、無償で所有者に返還することを契約書に定め、「土地の無償返還に関する届出書」を所有者、借地人の連名で税務署に提出しておくことです。
もう一つの方法は、権利金の支払に代えて相当の地代(自用地価額の年6%相当額)を支払うことです。
◆権利金と相当の地代の関係
権利金と相当の地代は、建物を建てるために土地を他人に貸したことにより、所有者がその土地を自由に利用できなくなる不利益に対して借主に見合う負担をさせるものです。したがって認定課税を回避するには、借主は権利金を支払うか、相当の地代を支払うか、両方を組み合わせるかを選択します。相当の地代より低い地代を設定すると、権利金の額との見合いで差額に権利金の認定課税が行われます。
◆借地契約の確認を忘れずに!
同族会社に借地権があるか契約内容を確認しましょう。契約書を交わしていない、地代が近隣相場と比べて少額、そもそも当事者に土地を貸す意思がなかったなどの場合は、自用地評価とされるかもしれません。