基準期間で判定が原則だが納税義務免除の特例の色々
◆交際費の基本
交際費の損金算入については、法人の資本金ごとにルールが定められています。
・資本金100億円超:交際費の損金算入は一切認められません。
・資本金100億円以下1億円超:飲食費等の交際費の50%を損金算入可能。
・資本金1億円以下:飲食費等の交際費の50%か、800万円までを損金算入かを選択適用。
尚、個人事業主については、税法上の上限額はありません。
◆変わったのは飲食等の金額基準
令和6年度税制改正では、上記の交際費の損金算入のルールは変わらなかったものの、「交際費にしなくて良い」という飲食費の金額基準が令和6年4月1日以降、一人5,000円以下から1万円以下に変更となりました。
新型コロナウイルス感染症の影響から窮地に立たされていた飲食業界ですが、徐々に持ち直してきており、あわせて企業が使っている交際費の金額も回復傾向にあります。ただ、物価の動向等を踏まえると「5,000円では法人間の接待に使い辛い」という感想を抱いていた方も多いのではないでしょうか。
今回の改正については、今般の価格転嫁、ひいては賃上げという経済の好循環につながる事も期待されているのでしょう。
◆基準変更の注意点
適用が4月1日のため、3月末決算法人以外の法人については、期中に5,000円と1万円の金額基準が混在するため、経費精算システム等で誤りが無いようチェックする必要が出てくる場合があります。また、交際費ルールを社内規定等で定めている場合は、改正を視野に入れて、社内規定等を改めるか検討しましょう。
また、税込経理・税抜経理により交際費にしなくて良いかの判定基準が変わる(税込の場合11,000円で交際費等に含まれ、税抜の場合10,000円仮払消費税等1,000円で交際費に含まれない)のは従来と同様です。
税抜経理の場合は、支払い先がインボイス発行事業者か否かでも、判定に影響がありますから、ご注意ください。