役員報酬における『縦の公平性』と『横の公平性』
国税庁は、2022事務年度(2022年7月から2023年6月までの1年間)における法人消費税の調査状況を公表しました。
それによりますと、コロナの影響による調査事務量が緩和されたことから、2022事務年度において、法人消費税の実地調査を6万1千件(対前年比52.2%増)実施し、消費税還付申告法人への追徴税額は過去最高となりました。
調査件数のうち、3万5千件(対前年比44.3%増)から何らかの非違を見つけ、1,357億円(同56.2%増)を追徴し、これは1991事務年度以降で最高額となりました。
消費税還付申告法人についてみてみますと、5,810件(同36.6%増)に実地調査を実施し、このうち931件の不正を含む3,588件(同24.7%増)から非違を見つけ、追徴税額は前年比51.5%増の563億円(うち不正還付は138億円)と増加しました。
また、不正計算があった件数は同38.5%増の1万1千件あり、その追徴税額も同26.2%増の390億円と増加しましたが、不正1件当たりでは同8.9%減の372万円と減少しました。
消費税不正還付の手口では、国内で架空仕入れを計上するとともに、免税となる国外への売上を架空計上し、売上に係る消費税から仕入れに係る消費税を控除するとマイナスになることを利用して還付を受ける手口があります。
国税庁では、法人から税務署に提出された消費税還付申告書について、申告内容に応じて、還付事由の確認のため還付金の支払手続きを保留した上で厳正な審査を行い、行政指導や実地調査を行っていく方針です。
調査事例では、国内売上を免税売上に仮装したものが挙がっており、輸出物品販売場を経営するA社は、外国人旅行者に対して高級腕時計を多数販売(免税)したとして、多額の消費税還付申告書を提出していました。
実地調査を行ったところ、A社は消費税の還付金を不正に受領するため、国内売上をブローカーが用意した協力者(非居住者)に対する免税売上に仮装している事実を把握しました。
そして、A社に対しては、重加算税を含む追徴税額約11億円が課されております。
(注意)
上記の記載内容は、令和6年2月12日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。