交際費等の損金不算入・少額減価資産特例は延長!
財務省はこのほど、特例で税負担が軽減される「租税特別措置」(租特)の2022年度の適用実態調査の結果を公表しました。企業が研究開発に充てた費用の一部を法人税額から差し引く「研究開発税制」の減税額は、前年度と比べて約25%増加し、計7636億円でした。
租特は研究開発や投資・雇用の促進、地域の産業振興など特定の政策目的を達成するための税制上の優遇措置。法人向けの租特は約80種類あり、他に住宅ローン減税など個人向けの制度もあります。時限的な措置で、期限が迫ると与党の税制調査会が延長や拡充、廃止を検討します。
効果の検証や実態の情報開示が不十分といった問題が租特には指摘されていて、民主党政権の2010年に適正な情報公開などを目指した租特透明化法ができましたが、個別の企業名は「競争上の不利益が生じる恐れがある」(財務省)として公表していません。
ただ調査結果では、研究開発税制が高額適用されている上位10社の減税額が示され、1位の企業は約802億円が控除されていました。10社の合計額は約1889億円に上り、研究開発税制による減税額全体に10社が占める割合は25.5%でした。
総務省が過去に行った調査では、租特がどの程度目的を達成できたかをしっかり検証できていたものは全体の2割にも満たなかったそうです。こうした状況を受け、与党が決定する税制改正大綱では近年、租特について「真に必要なものに限定していく」「政策効果や必要性を見極めた上で、廃止を含めてゼロベースで見直しを行う」と記載していますが、実際には何も手を付けられていないのが現状です。
<情報提供:エヌピー通信社>