空き家の取壊しはいつまで? -相続空き家の特例-
小泉龍司法相は2月中旬の閣議後記者会見で、現在は自筆しか認められていない遺言書のデジタル化について、法制審議会(法相の諮問機関)に諮問すると明らかにしました。デジタル化によって遺言書作成にかかる負担を軽減し、相続トラブルの防止につなげる狙いです。
民法では、本人が遺言書を作成する「自筆証書遺言」の場合、自ら全文と日付、氏名を手書きし、押印しなければならないと定めています。財産目録については2018年の民法改正でパソコンでの作成が認められるようになりましたが、本文はいまだ自筆が求められ、作成時の負担になっています。
法制審への諮問では、パソコンをはじめとするデジタル機器を使った遺言書の作成方式の検討を求めます。手書きに比べて本人の意思に基づいた内容かの判断が難しくなることを踏まえ、電子署名を活用したり、入力する様子を録音・録画したりする案も取り上げます。押印する必要性の検証やデジタル機器を使える範囲も議論。小泉法相は「国民にとってより利用しやすいものにする必要がある」と述べていて、利便性の高さと偽造・改ざんを防止する仕組みの両立がポイントとなりそうです。
また小泉法相は、認知症などで判断能力に不安がある人の財産を家族や専門家が本人に代わって管理する「成年後見制度」についても、法制審に諮問する方針を示しました。高齢化の進展に伴い同制度へのニーズは増していますが、制度の使い勝手の悪さから見直しを求める声がかねてより上がっていました。本人の判断能力が不十分になった後、家裁が後見人を選任する「法定後見」と、本人に判断能力があるうちに後見人を選任する「任意後見」がありますが、法定後見では本人の判断能力が回復しない限り制度の利用をやめられないことに加えて、状況に応じた交代が実現せず本人の自己決定権が制限されているとの指摘がありました。法制審では、法定後見の任期を区切る「期間制」のほか、状況に合わせて後見人を柔軟に交代できるようにする見直しも取り上げられます。
<情報提供:エヌピー通信社>