電帳法で猶予対象の「相当の理由」とは
インボイス制度では、一定の事項が記載された帳簿と適格請求書等の保存が、仕入税額控除の適用を受けるための適用要件になりますが、ここで経費を立替払いしてもらう場合の請求書等の保存や交付はどのようにすればよいのか疑問が生じるところです。
この点については、経費の支払先(請求書発行者)から立替払いをした会社宛に交付された適格請求書をそのまま受領したとしても、これをもって請求書発行者から交付された適格請求書とすることはできませんので、該当されます方はご注意ください。
そもそも取引先が資産の譲渡や役務の提供を受けた場合、本来その対価は直接その取引先が支払うものなので、本来取引先が負担すべき対価を立替払いした際には、その取引を立替払いとして他の取引と明確に区分していれば、その立替払いは課税仕入れに該当せず、立替金額の受取りも課税対象とはなりません。
ただし、立替金額に仲介料を上乗せして代金を受け取る場合は、単なる立替えとは異なりますので、その全額が課税対象となります。
そこで、インボイス制度における立替払いの適格請求書に関して、立替えを受けた側は立替払いされた適格請求書と、立替払いを行った側が発行した「立替金精算書」といった、立替経費が立替えを受けた側の課税仕入れであることを証明する内容の書類を保存することによって適格請求書の保存要件を満たすことになります。
そのため、立替払いした際に受け取った適格請求書と立替払いした側が作成した立替金精算書等を一緒に取引先に交付するといった対応をしますと、取引先はその立替えを受けた経費について仕入税額控除ができます。
しかし、立替払いした際に受け取った領収書などが適格請求書でなければ、立替金精算書等を発行した事業者が適格請求書の発行事業者だったとしても、立替えを受けた側は仕入税額控除できません。
なお、立替えを受ける側が消費税の計算方法として簡易課税制度や、インボイス制度の2割特例を採用している場合、免税事業者だった場合にはそもそも適格請求書の保存は不要となりますので、あわせてご確認ください。
(注意)
上記の記載内容は、令和5年12月8日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。