一括償却資産の損金(必要経費)算入のタイミング
年末調整を終わらせなければならない期限まで残りわずかとなりました。今年の年末調整では、住宅ローン控除や海外親族の扶養控除、配偶者の退職金に関する記載欄の新設など、小粒ながら多くの人に関わる見直しが講じられています。
今年の年末調整から変わったこととして、配偶者・扶養親族が受け取った退職手当等を記載する「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」という欄が新設されたことがまず挙げられます。所得税の計算では、合計所得金額に退職所得を含む一方、住民税では退職所得は含まれません。そうなると例えば今年に退職した配偶者がいる場合、所得税では所得上限に引っかかって配偶者控除を受けられないものの、住民税では控除を受けられることがあり得ます。これまでの書式では扶養親族の退職手当を把握できず、住民税の控除漏れが散見していたとして新たな記入欄が追加されました。
ふたつめの見直しは、海外に住む扶養親族の控除要件が厳しく制限されたこと。これまでは16歳以上の国外扶養親族が対象となっていましたが、今年からは「30歳以上70歳未満」のいわゆる現役世代が原則として除外されることとなりました。国外親族の生活実態については把握が難しく、ある程度稼いでいた親族でも扶養控除が認められていたとの指摘を踏まえ、見直されたものです。今年からは、留学などの理由で国外にいる親族、障害者、生活費・教育費として年38万円以上の支払を受けている人という3条件のいずれかに当てはまらない限り、現役世代は扶養控除を適用できません。
みっつめの見直しが、住宅ローン控除の控除率と適用期間の変更。2021~22年度の税制改正で、住宅ローン控除は大きく変わりました。所得上限が引き下げられ、控除期間が一定の要件を満たすことで13年に延長され、控除率も従来の1%から0.7%へと引き下げられています。これらの見直しは昨年から行われていましたが、住宅ローン控除では1年目は確定申告を行い、2年目以降は年末調整で控除手続を行うため、控除率見直しの影響を受ける年末調整は今年からということになります。
<情報提供:エヌピー通信社>