事業承継を契機とした企業成長に向けた後継経営者の準備
◆通勤手当と所得税
給与所得者に支給する通勤手当については、非課税限度額が設定されていて、その金額までの支給であれば、支給された通勤手当には所得税がかからない仕組みになっています。
非課税限度額は
●交通機関又は有料道路を利用している人の場合:1か月最高150,000円
●自動車・自転車などを使用している人に支給する場合:片道55キロ以上1か月最高31,600円~片道2キロ以上10キロ未満1か月最高4,200円
●交通機関の通勤用定期券を支給の場合:1か月最高150,000円
等となっています。なお、通勤距離が片道2キロ未満で自動車や自転車などを使用している人に支給する通勤手当は全額課税となります。
規定されている額よりも多く通勤手当を支給した場合、超過分は給与として課税されます。
◆通勤手当と社会保険料
通勤手当は限度額までは所得税は非課税なのに対して、社会保険料の算定に利用する標準報酬月額には含めて計算することになっています。
所得税と社会保険の扱いの差は、所得税は「職場に行くための手当は結果的に手元に残らないから非課税」という考え方で、社会保険料は「労働の対価として定期的に受けた労働者の生計に充てられる手当なので計算に入れる」という考え方の違いのようです。
◆通勤手当とインボイス
適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の対象となります。ただ、社員に支給する通勤手当については、社員が適格請求書発行事業者ではないため、適格請求書の交付を受けることができません。そのため通勤者につき通常必要と認められる部分については、特例で記帳のみの保存で仕入税額控除が認められています。
また、この「通常必要と認められる部分」については、所得税の非課税限度額を超えているかどうかは問わないため、所得税の非課税限度額との条件を混同しないように注意しましょう。