4月から消費税の総額表示義務化
日本税理士会連合会が2024年度年度税制改正に向けた建議書を関係省庁に提出しました。建議書では特に強く主張する項目として、消費税の軽減税率の廃止と非課税取引の範囲見直し、中小企業の役員報酬と配当税制の見直し、人的控除改革の3点を掲げています。
軽減税率については「低所得者への逆進性対策としては非効率」「社会保障と税の一体改」という当初の目的から乖離して歳入を毀損している」と批判。早期の単一税率制度への回帰を訴えました。消費税の逆進性の緩和対策としてはマイナンバーを利用した簡素な給付措置を導入するなど社会保障制度全体の中で解決することが適切だとしています。また現在「社会政策的な配慮に基づくもの」として消費税がかからない非課税取引とされているものについて、範囲の見直しや計算を平易にすることと求めました。
並んで、中小企業の役員報酬に関する税制の見直しも掲げ、「職務執行の対価であり、法人税法第22条により原則として損金の額に算入され、恣意性のあるものなど課税上弊害があるものについてのみ損金の額に算入されないのが本来の姿」と主張。損金にできない報酬の条件を規定した上で、不相当に高額なものを除いては原則として損金算入可とすべきとしました。併せて中小法人が株主に行う配当についても、「中小法人に対する投資については、促進する措置が整備されていない」として、申告分離制度の導入や配当控除の引き上げを求めています。
また建議書では、基礎控除や配偶者控除などの基礎的な人的控除の見直しも求めました。給与所得控除や公的年金等控除の水準が過大であるとして、控除を縮減した上で基礎控除を一層引き上げることを提言しています。特に公的年金等控除については、拠出時に社会保険料控除、給付時に公的年金等控除が適用されることで「実質的に非課税に近い」と言い切り、「可能な限り縮減すべきである」と強い口調で控除縮小を要望しました。
その他、インボイスの負担軽減策のさらなる措置や医療費控除の廃止を含めた縮減、中小企業の減価償却方法の定率法の復活、相続税の連帯納付義務の廃止など、様々な税目で要望を行っています。
<情報提供:エヌピー通信社>