「労働契約法」と「労働契約」
◆ニュースでも見る光景
国税庁は「査察の概要」として査察に入った数や告発件数、脱税額等の公表を行っています。
査察とは国税査察官が行うもので、国税犯則取締法に基づき行われる、強制的な調査です。臨検、捜索、差押等の権限があり、相手方の同意を必要としません。テレビのニュースで大量の段ボール箱を押収するのを見たことがある方も多いと思います。
令和4年度の査察の着手件数は145件、告発したのは103件、脱税額(加算税等含む)は127億円超とのことです。
◆重点事案の紹介
査察調査は「悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、適正・公平な課税の実現と申告納税制度を維持する」という査察制度の目的に鑑みて、消費税・無申告・国際事案・社会的波及効果が高い事案を「重点事案」として取り組んでいます。
たとえば消費税事案については、仕入税額控除や輸出免税制度を悪用した不正受還付は、国庫の詐取ともいえることから、悪質性が高いと位置付けているようです。令和4年度の消費税事案に対する告発件数は34件、その内、不正受還付事案は16件で、不正受還付額は約13億円とのことです。
なお、消費税の不正受還付については、不正な還付申告が疑われる場合、税務署において還付を保留することもありますが、そういった「未遂」についても、平成23年に創設された未遂処罰規定により罰則が設けられているため告発が可能です。
◆無申告で実刑判決?
令和4年度の「査察の概要」には、FX取引利益の無申告で実刑判決を受けている例が掲載されています。
ただの無申告で実刑判決が出るのか、とよく見てみると一度の無申告ではなく、所得税法違反による前科の執行猶予期間中であり、数十もの他人名義で取引を行い、確定申告書を提出することがなかったという悪質性が判断され告発、実刑判決となったようです。
脱税は犯罪です。告発を受けた場合懲役刑や罰金が待っています。また、告発されなくとも、加算税や延滞税が課されます。