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ふるさと納税で多額の寄付を得たことを理由に特別交付税を減額されたのは違法だとして大阪府泉佐野市が国の決定取り消しを求めた訴訟で、大阪高裁は5月、決定取り消しを命じた一審判決を覆し、市側の訴えを退ける判決を下しました。
判決で裁判長は、「国と地方公共団体を当事者とする紛争は、基本的に法律上の争訟にあたらず、国会審議などの民主的な統制の対象とすることで解決すべきであり、本件は裁判所が裁判する権限はない」と、市側の訴えそのものを却下しました。2021年5月の中間判決を取り消したかたちとなり、交付税に関わる決定の違法性には判断を下しませんでした。
裁判で争点となった特別交付税は、財政基盤の弱い自治体の財源を国が補てんする制度。泉佐野市にも18年度までは約5億円が交付されていましたが、19年度の同市に対する特別交付税は約5千万円と前年より4億円以上減額されました。その理由が「配分はふるさと納税の収入を加味する」とした新ルールだったため、同市が「省令を都合よく改正して、国に従わない自治体を狙い撃ちにした」と猛反発。不服審査を総務省に申し立てましたが、交付金額の算定に対する不服は審査の対象外にならないとして却下されたため、国を訴えていました。
国は法廷で、行政庁の処分に対する訴訟は個人にしか認められず、そもそも自治体は原告になり得ないと主張しましたが、中間判決では「交付税の交付額の決定について提訴を認めないとする明確な規定は存在しない」として国の主張は退けられていました。さらに22年3月の判決で減額決定自体を取り消す判決が下り、敗れた国側が控訴していました。
判決を下した裁判長については泉佐野市が今年4月に忌避を申し立てていました。裁判長は過去に法務省に出向し、国の代理人として裁判を行う法務局訟務部門で部長を務めた経験があり、国側に有利な判決を下すおそれがあるとしたものです。しかし市側の申し立ては高裁に却下されていました。
<情報提供:エヌピー通信社>