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消費税のインボイス制度について、日本税理士会連合会(日税連、神津信一会長)が中小企業向けの負担軽減措置の延長を要望しました。日税連は当初はインボイス制度へ反対する姿勢を示していましたが、制度の開始が近づくに伴い、中小企業の実務を考慮した運用を求めつつ制度を許容するようになっています。
インボイス制度では、インボイスを発行できない免税事業者との取引では消費税の仕入税額控除をすることができません。そのため免税事業者が取引から除外されるリスクが指摘されています。かといって課税事業者に転換すると消費税の納税義務が発生し、中小企業者では重負担となる恐れがあります。
こうした懸念を受けて2023年度税制改正では、インボイス登録するために新たに課税事業者に転換した事業者を対象に、3年間は消費税の納税額を売上税額の2割に抑制する激変緩和措置が設けられました。ただ3年間の時限措置であることから、日税連は昨年12月に、「免税事業者が取引から排除されることのないよう、今後も引き続き、インボイス発行事業者以外からの課税仕入れ80%控除という経過措置について、当分の間維持することを関係各所に求めていきます」との会長コメントを出していました。
そして4月に公表した神津会長の最新コメントでも、「免税事業者からの仕入の80%を仕入控除できる経過措置期間を『3年間』ではなく、『当面の間』とする改正要望を継続してまいります」と述べ、緩和措置の延長を改めて求めました。神津会長はこれまでのインボイス制度に関する日税連の取り組みとして「中小企業者の実務を踏まえた柔軟な運用を求めてまいりました」とした上で、今後についても「税理士がデジタル・インボイスを含めたデジタル化の推進という面でも事業者を適切にサポートできるよう、諸施策を講じてまいります」と述べました。
<情報提供:エヌピー通信社>