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感染症下での事業再構築

伊藤惠悦

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テーマ:その他

感染症流行下において、中小企業を取り巻く事業環境は大きく変化しました。こうした中、事業再構築は、足元の事業継続だけでなく事業の成長にも寄与する点でも重要となります。中小企業庁編「中小企業白書2022年版」では、中小企業・小規模事業者を対象としたアンケート調査の結果に基づき、中小企業における事業再構築の実施状況及びその効果について整理しています。

まず感染症下における事業再構築の実施状況についてみると、「既に行っている」と回答した企業の割合は12.7%、「1年以内に行う予定」と回答した企業の割合は9.8%であり、事業再構築を実施済み又は実施予定の企業は合わせて22.5%となっています。
次に、実際に行われた、又は行われる予定の事業再構築はどういったものであるのかについてみると、「既存の市場・販路×新規の製品・商品・サービス」の回答割合が41.8%と最も高く、以下「新規の市場・販路×既存の製品・商品・サービス(31.8%)」、「新規の市場・販路×新規の製品・商品・サービス(26.4%)」の順となっています。

事業再構築による売上面での効果についてみると、「効果が出る見込みは薄い」及び「既に撤退している」と回答した企業を除いた割合は96.0%となっており、事業再構築の実施は売上面で一定の効果が期待できることが分かります。
また、事業再構築を実施したことによる売上面以外の効果についてみると、「既存事業とのシナジー効果」の回答割合が38.5%と最も高く、以下「従業員の意欲・能力向上(26.7%)」、「技術力・製品開発力の向上(22.5%)」の順となっていることから、事業再構築を実施することで、実施した事業以外への波及効果も期待できるのです。

では、感染症流行下において中小企業では具体的にどのような事業再構築の取組みを行っているのでしょうか。そこで、中小企業庁編「中小企業白書2022年版」においてサテライトオフィスの誘致など事業再構築に取組み多角化を進める中小企業の事例として紹介された株式会社和多屋別荘(佐賀県嬉野市)の取組みについてみていきましょう。

株式会社和多屋別荘は、嬉野温泉にある1950年創業の旅館で、2万坪に及ぶ広大な敷地を有しています。同社社長は、感染症流行前より「一泊二食」だけに依存した従来型のビジネスモデルの見直しの必要性を感じていました。こうした中、感染症流行後、宿泊客の減少により売上が減少し、その課題が浮き彫りとなりました。

同社社長は就任当初より自社の事業を「旅行の販売」から、「2万坪の敷地の管理・運営」へと見直す構想を練り続け、幅広い視野で事業を検討していました。事業再構築の取組みは感染症流行前より開始していましたが、契機となったのは2019年夏に同旅館を愛用する企業の社長から、「自社のサテライトオフィスを設置できないか」という打診を受けたことでした。これを受け同社はサテライトオフィスを2020年4月から稼働しました。感染症流行の影響を受け、旅館の営業休止を余儀なくされた時期と重なったこともあり、同社はサテライトオフィス事業の拡大を加速させました。ワークスペースを整備する中で、ワーケーション用の宿泊プランを新設し、感染症流行で関心が高まったワーケーション需要の取り込みにも積極的に動きました。

このように事業再構築は、売上面での効果だけでなく「既存事業とのシナジー効果」などといった売上面以外での効果も期待できるのです。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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伊藤惠悦(税理士)

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