相続時精算課税の普及が戦略
2022年度税制改正において、個人住民税における合計所得金額に係る規定が整備されます。
2018年度税制改正で創設された公的年金等控除を合計所得金額に応じて判定する仕組みですが、合計所得金額の範囲が所得税法と地方税法との違いから生じる混乱を是正する狙いがあります。
2018年度改正では、公的年金等収入が一定額を超える場合の控除額に上限を設定し、年金以外にも高額な副収入がある年金受給者の控除額が引き下げられました。
具体的には、控除額を一律10万円(公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下は20万円、2,000万円超は30万円)引き下げるとともに、公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額については、195万5千円の上限が設けられ、個人住民税においても、公的年金等控除の算定のため、合計所得金額を把握する必要が生じました。
しかし、総所得金額の範囲は、所得税法は退職所得を含むのに対して、地方税法は分離課税の対象(源泉徴収の対象)となる退職所得は含まれません。
そして、市区町村が退職所得の有無を把握するには、相当の事務負担が必要との意見があったことから、2022年度改正において、公的年金等控除額の算定における合計所得金額には、個人住民税における他の所得控除等と同様に、退職手当等を含まない合計所得金額を用いることになり、2022年度分以後の個人住民税について適用されます。
また、給与所得者の扶養親族申告書及び給与支払報告書並びに公的年金等受給者の扶養親族申告書及び公的年金等支払報告書について、退職手当等を有する一定の配偶者及び扶養親族の氏名等を記載し、申告することとする等の措置を講じ、これは2023年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等について適用されます。
そのほか、確定申告書における個人住民税に係る附記事項に、退職手当等を有する一定の配偶者及び扶養親族の氏名等を追加し、2022年分以後の確定申告書を2023年1月1日以後に提出する場合について適用されます。
(注意)
上記の記載内容は、令和4年8月1日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。