税金で損する早生まれ
今年の確定申告は、新型コロナウイルスの影響やe-Taxのトラブルなどもあって4月15日まで個別延期が可能となりました。それでも様々な事情で、どうしても還付のための申告が期限内にできなかったということもあるでしょう。そういう人のために、税法では「還付申告」という制度を設けています。
還付申告をするのは、「しまっておいた医療費の領収書が後から出てきた」、「昨年末に組んだ住宅ローン申告が間に合わなかった」、「保険や高額療養費の金額が確定しなかった」、「退職したことで年末調整しないままだった」、「地震や風水害で自宅や家財に被害があったのに忘れていた」、「ふるさと納税についてワンストップ特例の申請も確定申告もやっていない」といった人です。
還付申告についてまず気を付けたいのが申告期限の計算。還付申告は、通常3月15日までとなっている確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間とされています。注意点として、あくまで翌年の正月から5年間であり、「3月15日の確定申告期限」ではないという点。仮に2021年分の医療費控除があったとすると、今年の確定申告の期限は原則22年3月15日であったため、還付申告の期限は27年3月15日までと思いがちですが、実際には26年12月31日に締め切られているため、その後はもう還付請求はできないことになります。
それと「翌年1月から5年間有効であれば、なにもわざわざ混み合う確申期に申告する必要はないのではないか」と思う人もいるでしょうが、その考えはやめたほうがいいようです。
住民税の計算のベースは、昨年末の年末調整や確定申告をした所得税の計算のベースの所得金額と同じです。そのため、確定申告での所得額が低ければその分だけ住民税額は少なくて済むし、逆に多ければ住民税額は多くなってしまいます。年末調整で所得額が多くなったものの医療費控除を行えば少額になるというときに、還付申告を遅らせれば住民税は高額のままになってしまいます。さらに自治体の公的サービスの多くは住民税の計算のベースである所得額を元に判断されるため、生活の様々な面にも影響を及ぼす可能性も否定できません。
<情報提供:エヌピー通信社>