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火災保険の契約者と建物の所有者が異なる場合の課税について

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テーマ:相続税・贈与税

火災保険は、一戸建てやマンション、ビルなどの建物や、建物の中にある家具や什器などの動産を補償しますが、火災保険の契約者(保険料負担者)と建物の所有者(被保険者)が異なる場合、通常、火災が発生した際には建物や家財などの所有者に保険金を受け取る権利がありますので、保険金は契約者ではなく、所有者に支払われます。

ただし、質権設定された契約など被保険者へ支払いできない場合もあり、例えば住宅ローンの借入をする際には、金融機関等に対して火災保険の保険金の権利を担保として提供しているので、被保険者ではなく質権者(金融機関等)に保険金の請求権が移るため、保険金は質権者に支払われることになります。

火災保険の契約者は、保険会社に契約の申込みをして保険料を支払う契約の当事者である一方、被保険者は保険の補償を受ける保険の対象となる建物の所有者です。
被保険者は、契約者と同一の場合や、別人の場合もあり、別人であるケースとして、親が所有する建物に子供が保険料を負担して火災保険に加入している場合などがあります。

この場合、保険料の支払者と保険金受取人が異なりますので、火災保険金を受け取った人に所得税や贈与税の課税が問題となりますが、火災保険金は火災や自然災害などで受けた損害の補填となりますので、保険金の受取方法によって、利益が生じないことから非課税とされます。
なお、火災保険は掛け捨てタイプが一般的ですが、積立型の火災保険もあります。
満期になりますと満期返戻金が支払われますが、満期返戻金の受取人が契約者と同一である場合は、原則として一時所得として扱われ、他の一時所得と合算して課税を受けます。
受取人と契約者が異なる場合は、受取人に贈与税が課税されます。

また、契約者が保険期間中に死亡した場合もあり、掛け捨てタイプで保険料を一時払いで払う火災保険や積立式の火災保険を相続したときは、その契約に関する権利が相続税の課税対象となり、権利の評価額は相続開始時の解約返戻金相当額となります。
さらに、保険期間中に相続が発生した場合には、未経過分の保険料等が相続財産に加算されますので、該当されます方はあわせてご確認ください。

(注意)
上記の記載内容は、令和4年2月1日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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伊藤惠悦(税理士)

伊藤輝代税理士事務所

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